CINEMAチャンネル 映画のブログ

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

『存在のない子供たち』魂揺さぶる傑作

『存在のない子供たち』


~あらすじ~
12歳のゼインは、中東のスラムで両親とたくさんの兄弟姉妹と住んでいるが、親が彼の出生届を出さなかったため身分証明書を持っていなかった。彼は11歳の妹と仲が良かったが、知人の年上の男性と無理やり結婚させられてしまう。怒ったゼインは、家を飛び出して職を探そうとするが、身分証明書がないため仕事ができなかった。
(シネマトゥデイ引用)



9/10☆☆☆☆☆☆☆☆☆


以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○作品について
第71回カンヌ国際映画祭で『万引き家族』とパルムドールを争い審査員賞を受賞したほか、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、世界各国で高評価を受けるレバノン(フランス共同)映画。
『キャラメル』などのナディーン・ラバキー監督が、難民の子供ゼインを演じるアル=ラフィーアを筆頭に、本作の登場人物と近い経験をもつ演技未経験の人々を多くキャスティングして挑んだ超現実思考の作品です!


○ここから感想(ネタバレなし)
久しぶりに映画を観て打ちひしがれた。
不法滞在の移民の子で、法的に存在しない、お金もなければ居場所もなく、大人に搾取される...そんな12歳の少年目線で描かれる。
始まりは両親への訴訟という衝撃的な展開だ。何故彼はこんな選択を選んだのか、裁判を交えながら回想ベースの物語となっているのだけど、親に社会に絶望し、「僕を産んだ罪」で両親への訴訟という行動に出る心境を思い知る事は出来ない...
だけれども、彼の目線に寄り添うこの映画は彼の想いを自分事化する事に成功する。
一方で出てくる大人は、無責任に子供を作る両親、子供を利用するお店の店主、途中出会う一人で子を育てる移民の母...少年を絶望へ向かわせる彼ら全員が責められるべき存在である一方で、必ずしも彼らだけを責める事が出来ない社会性も併せ持つ。
最低限の環境すら与えてもらえない子ども達...産む事は罪?置かれた環境次第で産んではいけないの?
この映画を見終えた後、子供を産む権利と責任を大きく考える事になる改作です!!




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  1. 2019/09/13(金) 19:55:08|
  2. 2019年公開映画
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『diner ダイナー』今年一番の...

『Diner ダイナー』



~あらすじ~
孤独な女性オオバカナコは、怪しいサイトのアルバイトに手を染めたことでどん底に陥り、とあるダイナーにウエイトレスとして売られてしまう。重い鉄の扉を開けると強烈な色彩が広がるその店の店主は、以前は殺し屋だった天才シェフのボンベロ(藤原竜也)。そこは、凶悪な殺し屋たちが次から次へと現れる、殺し屋専用のダイナーだった。(シネマトゥデイ引用)


以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○作品について
『ヘルタースケルター』などの蜷川実花監督最新作!
独特な色彩感覚が印象的な写真家で、映画監督としては本作が三作目。小栗旬主演の『人間失格』も9月公開を控えていて、今攻めに出ている印象がある。
またご存知、演劇界 稀代の演出家で2016年に惜しまれつつ亡くなった、蜷川幸雄さんの娘ですね。
その蜷川作品に多く出演し、演劇のイロハを学び日本を代表する舞台俳優になった藤原達也が、今作で殺し屋専門ダイナーのシェフとして主演を務めるのが面白い!
また、女優やファッションモデルとして活躍する玉城ティナが転落人生の末ダイナーで働く事になったウェイトレスを演じています。

○ここから感想(ネタバレなし)

蜷川実花さん、写真家としては優れた方だけどやっぱり映画監督としてはどうなんだろう...
辛辣かもしれないけど、そんな印象がより強くなる映画でした。

日本映画のダメな所の真骨頂、状況を1から100まで説明するキャラクター像に始まり、肝心のキャラクタービジュアルもバックグラウンドの設定もとにかくダサい。
たしかに、一瞬一瞬のビジュアルは面白いなぁと感じる。
そうなんだけど、それが動き始めると...情報量が増えれば増えるほど人物は陳腐になっていくし、アクションと一連の動きとして観ると悪意を感じるレベルでダサい。
つまり、一瞬の画は良いんだけど、そこに時間方向のベクトルが加わると一気にしらける。
より長い時間で観ても、全体コーディネートが出来てなくて、キャラクターの魅力、世界観が冒頭をピークにどんどん小さくなっいく有り様。
正直今年一番...何度か立ちたくなった。

ただ何点か良い所はあって、最高だったのが犬の絹千代。
ビジュアルから最高で、パルムドッククラスのベストアクション!
また、窪田君演じるスキンの存在感も良かった。
これも結局はキャラクターデザインというより、窪田君の俳優力なんだけども。



5/10☆☆☆☆☆




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  1. 2019/08/24(土) 12:17:51|
  2. 2019年公開映画
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『天気の子』世界の行く末がどうであれ..

『天気の子』



~あらすじ~
高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う。(シネマトゥデイ引用)




以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○作品について
前作『君の名は』で大ヒットを飛ばし、一躍日本を代表するクリエーターとなった『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』の新海誠監督最新作!
プロデューサー川村元気、音楽RADWIMPSとのタッグを前作から継続。
超協力体制に加え、新海監督自ら「賛否が割れる」と言った更なる新海ワールドが炸裂!


○ここから感想(ネタバレなし)
「何者でもない事に悩む少年少女が、この世界の裏側を自分達だけが知り、その世界との決着を通して自己意思を見つける」
いわゆる世界系と呼ばれる、新海監督のエッセンス。
前作『君の名は』では、その自己意識が世界の行く末とバランスが取れていた。(その上、そこに抜群の映像と音楽までもが完璧に同調し、全ての要素が同方向に一直線に加速していたからこその大ヒットである。)

迎えた本作では、自己批評のごとく、全く逆方向に舵をきる。
詳しくはネタバレになる為書かないが、世界の行く末と自分たちの決断が逆を行くことで、「そうだとしても..俺達は!!」な展開が、前作以上に自己意識のパワフルに肯定させる。
このバランスが、新海監督曰く「賛否がわれる」所であるが、決して彼等を責められない脚本のバランス感覚と、もはや力技な音楽×映像のドライブ感が合わさり、物語だからこそ肯定したいロマンチックな着地に感じ、前作より断然好きだ!

また周囲の大人の描き方も前進していて、本作が『君の名は』に比べてより味わい深くなっている。
少年少女の真っ直ぐで無謀な行動の横にいる大人達の、現実的な葛藤や喜びなど人となりがこっそりかつしっかり描かれているから、何処となく現実世界の湿った感覚を感じられるのかもしれない。

一方で作品に力技でドライブさせるような、音楽と映像の融合、一本のミュージックビデオのような全体コーディネートは前作同様に素晴らしい。
その中でも特出すべきは映像表現!
特に天気表現は滅茶滅茶綺麗で、間違いなく世界トップレベル。

そんな天気の映画を、この天気に右往左往する時期にこそ大スクリーンで見てほしい!



7/10☆☆☆☆☆⭐︎⭐︎




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  1. 2019/07/31(水) 20:04:33|
  2. 2019年公開映画
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『トイストーリー4』シリーズの枠組みを自らぶっ壊す!

『トイ・ストーリー4』



~あらすじ~
ある日ボニーは、幼稚園の工作で作ったお手製のおもちゃのフォーキーを家に持って帰る。カウボーイ人形のウッディが、おもちゃの仲間たちにフォーキーを現在のボニーの一番のお気に入りだと紹介。だが、自分をゴミだと思ってしまったフォーキーはゴミ箱が似合いの場所だと部屋から逃亡し、ウッディは後を追い掛ける。


以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○作品について
2010年もトイ・ストーリー3から9年の時を経ての正式な続編となる本作。
もうそんなに!?てかあんなに綺麗に収めた3の続編なんて必要!?
ってのはさておき、大好きなシリーズなのでやはり期待せざる得ませんよ。
監督は、『インサイド・ヘッド』(☆8)で超秀逸な脚本を務めたジョシュ・クーリーを抜擢。
長編初監督ですが、実際は独自方式のチームピクサーで挑む為、大外れはしないはず。


○ここから感想(ネタバレなし)
おもちゃの幸せとは?
これまでのトイストーリーシリーズではそんなテーマを一貫して描いてきた。
中でも、遊んでくれる事、必要とされる事、更に子供の成長に寄り添う事にこそ、おもちゃの幸せがある事を前提としてきたように思う。
そんな中での『トイ・ストーリー3』の結末は、「主人が誰か」以上に大切なおもちゃの幸せの本質(だと思っていた物!?)を示し切った為、これ以上ない最高の結末になっていた。
実際めっちゃ泣いた...

そんな誰しもが満足していた結末に対して、本作では早々に裏切りが待っている。
前の持ち主アンディはおもちゃからの卒業はあったかもしれないが、あくまでウッディは大切な存在であり続けた。
しかし、現実は子供は古いおもちゃに飽き、戦力外にする事が往々にある。
今作で実は初めて、ウッディ自身がそんな状況に直面する。
だからこそのウッディの今作を通した振る舞いは胸に来るし、叫ぶウッディの言葉は泣けて来る...
これまでの「子供の成長に伴うおもちゃ自体の存在価値」ではなく、初めて個体としてのウッディの存在価値が揺らぐ。
そこから更に彼自身が、いや見てる我々も前提としていたおもちゃの幸せ=帰属前提の定義を覆す、ウッディの幸せ探し物語になっている。


わざわざ掘り返さなくて良い所掘り返して、新しく「幸せとは?」という前提を作り直してるんだから、賛否両論出るのはわかるしモヤモヤするのもわかるけど、自分はその前進ゆえのモヤモヤ含めて大いに肯定したい。
同じところに止まっていない、これこそピクサーだよなぁと改めて関心した。

新キャラ フォーディに関しても、おもちゃって何だろ...っ考えさせられるキャラ設定も見事。
何よりギャグに関しても最高で、フォーディのゴミの下りは当然、漫才コンビの掛け合いは最高でした!
そして毎回驚かされる(驚かされるのに慣れちゃって、もやは驚かないレベルなのが可愛そう)のが映像。特に今回は人形の質感。
不気味さとか古さとかの表現が見事で、この映像表現があっての物語にもなっている。



『トイ・ストーリー4 』
7/10☆☆☆☆☆⭐︎⭐︎






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  1. 2019/07/28(日) 14:38:26|
  2. 2019年公開映画
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65『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

観てきました、モンスターヴァース版アベンジャーズ!

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』



~あらすじ~
神話の時代に生息していた怪獣のモスラ、ラドン、キングギドラが復活する。彼らとゴジラとの戦いを食い止め世界の破滅を防ごうと、生物学者の芹沢(渡辺謙)やヴィヴィアン(サリー・ホーキンス)、考古人類学者のアイリーン(チャン・ツィイー)らが所属する、未確認生物特務機関モナークが動き出す。
(シネマトゥデイ引用)



65/100⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○作品について

待ってました、ゴジラに加え、キングギドラ、モスラ、ラドンが登場するという胸熱なアッセンブル映画!!

2014年公開ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』から始まり、『キングコング:髑髏島の巨人』に続く、モンスターヴァース第三弾です。

監督には、『スーパーマン リターンズ』などの脚本のマイケル・ドハティを抜擢。

前作『GODZILLA』ではエメリッヒ版ゴジラとは打って変わってビジュアルと過去最大の千両役者(&人間の無力さ)っぷり含めて大満足させてくれたシリーズの続編という事で、期待大で鑑賞しました。


○ここから感想(ネタバレなし)

モンスターの実在感と迫力を存分に楽しませてもらえた前作の『GODJILLA』。
その直後に負けじと公開された日本製『シン・ゴジラ』も、別ベクトルの本家ゴジラの精神を引き継いだ素晴らしい作品なのは間違いないのですが...
キングコング、モスラ、ラドン... 彼らが出るとなれはわ、より見たいのはハリウッド版であり、そんな期待に答えるかのように、モンスタービジュアルがどれも最高of最高でした。

モスラの形態変化筆頭に、キングコングもラドンも全然外してないどころか、期待を上回る迫力のビジュアルで、そんな彼らの大決戦を堪能出来ただけで、十二分に価値があります。

また、前作に比べてモンスターの擬人化を明らかに進めており、モンスター同士の激突とその奥にあるストーリーにこそ、より楽しみを感じられるように作られています。

一方で、ストーリーの推進部となるはずの人間間のドラマがあまりに無茶苦茶で、大きなストレスでした。
恐ろしいぐらい感情移入できない家族ゲンカ、理解不能なな動機と、その後の意味不明な変化...
地球規模のモンスターバトルが怒ってる中で、ストーリーの中心としてそんなドラマを見せられても、世界観が小さくなり霹靂するだけした。

また、モンスターのフォルムは最高なんですが、戦いシーンが夜ばかりで相変わらず見にくく、昼のシーンを中心に見たかったです。

ストレスにならないストーリーと、昼の決戦!
次作ゴジラvsキングコングでは楽しみにしてます!!



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  1. 2019/06/20(木) 23:22:29|
  2. 2019年公開映画
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