シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

☆6『ホムンクルス』さて、何が見えるのか!?

非主観要素の映像表現!

『ホムンクルス』



~あらすじ~
記憶と感情をなくした状態で、高級ホテルとホームレスがひしめく公園のはざまで車上生活を送る名越進(綾野剛)。そんな彼の前に医学生の伊藤学(成田凌)が現れ、頭蓋骨に穴を開け第六感を芽生えさせるトレパネーション手術を報酬70万円で受けないかと持ち掛ける。手術を受けた名越は、右目だけをつむると人間が異様な形に見えるように。伊藤は異形たちをホムンクルスと名付け、他人の深層心理が視覚化されて見えているのだと説明する。(シネマトゥデイ引用)

6/10★★★★★☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
2011年までスピリッツで連載された山本英夫のカルト的人気を誇る同名コミックを、『犬鳴村』などのホラー畑の清水崇が監督。『ヤクザと家族』などの綾野剛が主演を務め、『愛がなんだ』などの成田凌と岸井ゆきのら、実力派俳優が脇を固める。

4月2日に劇場公開され、先日netflixにて早くも配信開始。随分早いなと思ったら、劇場が期間限定上映だったのね。

トレパネーション手術を受けた綾野剛演じる名越進。その手術がきっかけで見えてなかった"ある物"が見えるようになる...そんなサスペンスホラー。

今作は、"ある物"が見える事になった事で周囲ので人々と奇妙な形で向き合う事になるホラーヒューマンドラマ的な前半と、「トレパネーション手術」に纏わる隠された真相に近づくサスペンス的な後半にわかれます。

そんな前半部分において...
普段人の主観では見る事の出来ない要素を主人公が見えるようになり、それを映像表現で追体験させでくれるのですが、「普段自分の見ている世界=主観は、果たして本当に正しい姿なの?」という疑問を映像表現する目新しさが強烈です。

そんな「普段主観で見えない要素の映像表現」って所に映像的な面白さがあるのだけど、それを軸にエモーショナルに展開されると...
漫画だと余白が多い為フィクションとして受け入れられるけど、映像にすると「嘘っぽく、わざとらしい展開になる」って所までは拭いきれないなと感じてしまいました。

また後半に行くにつれて、サスペンス要素へ広がっていくのですが、それ故に加えられた原作からの脚本の改変部分にチグハグさが感じられます。
劇映画的に後半盛り上げようとした事で、黒幕的な彼のホムンクルスへのそれまでの言動と後半明らかになる内面的な動機の間に、不可解さが生じているように感じました。


ただ、映像だけで見ると、斬新な描写はじめ、めちゃくちゃ良いと思う所が多く、それだけで全然引き込まれるのは確かです。
また、全体の黄色味がかかったタッチは作品のトーンとめちゃくちゃ合ってるし、骨の振動が伝わる手術描写や開眼を表現するショットなど画作りが素晴らしかったです。

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  1. 2021/05/07(金) 18:00:04|
  2. 2021年公開映画
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☆7『ラブ&モンスターズ』等身大な抜け感が心地良い!

モンスターアドベンチャー×青春映画!

『ラブ&モンスターズ』



~あらすじ~
突如出現したモンスターから逃れるため、全ての人類が地下コロニーでの生活を強いられている世界。ジョエル(ディラン・オブライエン)は無線を通じて、モンスターの襲来以来行方知れずだった高校時代の恋人エイミー(ジェシカ・ヘンウィック)が生存していることを知る。再びエイミーに対する熱い思いが込み上げたジョエルは、130キロメートル離れたコロニーで暮らしている彼女と再会しようと決意。モンスターが暴れまわる中を突き進んでいくが、さまざまな危険が降り掛かってくる。(シネマトゥデイ引用)

7/10★★★★★☆☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
netflixオリジナル映画。
『ファイブ・ウォリアーズ』のマイケル・マシューズがメガホンをとり、『メイズ・ランナー』などのディラン・オブライエンが主演、「Marvel アイアン・フィスト」などのジェシカ・ヘンウィックや「ウォーキング・デッド」などのマイケル・ルーカーらが共演する。
先日のアカデミー賞で、視覚効果賞にノミネートされていた、モンスターアドベンチャー映画です!

ジャンルムービー的なnetflixオリジナル映画って山ほどあるのだけど、年々その質が上がっているなと感じる一作になっていました!

巨大化した生物に人類文明を滅ぼされた...
その数年後、ヘタレな青年が生き別れた彼女に会いに行く為、意を決してモンスターが生きる地上へ彼女を探す旅に出る!そんなモンスター×青春映画になっています。

今作は迫力全面推しのモンスターパニックメインな映画という訳ではなく、ティーン物の感覚に近いような緩い雰囲気が魅力的な作品です。
だからといって、モンスター描写に手抜きはなく、視覚効果賞にノミネートされるのも納得で、モンスターのエグさと可愛げが同居するようなルックの描写が最高です。

そしてキャラクターですよね。
モンスターに退治する主人公の動機が「好きな子に会いに行く」という緩さがストーリーのアイデンティティになっており、この程よい抜け感が心地よい。
また、旅の途中に遭遇する仲間たちが、また凄い良い。この世界での生き方を彼に授けてくれる2人組の、この世界で生きていけるギリギリお人好しな感じ最高だし、なんといってもベストオブパートナーの犬ね!
犬!犬!いっぬ~!!!!!
キャラクターの悲惨なはずの背景も、バンバン出すわけではなく余白を持って小出ししており、作品の軽いトーンを怖さず良かったです。

この映画のラストの落とし所も好きだよそりゃぁ!って感じ。旅に出る時から引っかかってた「いやお前...」ってある盲目的な要素が、ラストの展開として回収してくれる、ある意味中二病的だった主人公の成長に、待ってました感を全開で感じさせてくれます。

正直唐突に感じる展開ってのが何箇所かあって荒削り感はあるんだけど、モンスター描写の魅力とか犬含めたキャラクターの魅力、作品全体の抜け感の心地よさで、面白いが余裕で勝つ。

オススメです!

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  1. 2021/05/07(金) 12:50:15|
  2. 2021年公開映画
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☆7『BLUE/ブルー』諦めの悪い男たち

大好き吉田恵輔監督×ボクシング映画

『BLUE/ブルー』



~あらすじ~
大牧ボクシングジムに所属する瓜田信人(松山ケンイチ)は、人一倍努力するも負け続きのボクサーだった。彼の後輩で日本チャンピオン目前の小川一樹(東出昌大)は、瓜田がひそかに好意を寄せる天野千佳(木村文乃)と交際し、全てを手にしたかに見えたが、脳の病が発覚し引退を迫られる。ある日、女性にモテたいという楢崎剛(柄本時生)がジムに現れる。
(シネマトゥデイ引用)

7/10★★★★★☆☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『ヒメアノ~ル』『犬猿』『さんかく』などの吉田恵輔監督の最新作!
『聖の青春』などの松山ケンイチ、『寝ても覚めても』などの東出昌大、『俺たちに明日はないっス』などの柄本時生、『ザ・ファブル』などの木村文乃らが共演する。

吉田恵輔監督の最新作!
映画のタッチとしてはコミカルさを内包しつつも、人間の嫌な所や弱さ、そしてそれによる愛おしさや時には気まずさまで描く事に長けた、日本で3本の指に入る大好きな監督です。

本作の中心は、諦めの悪い三者三様のボクサーです。
才能に恵まれない事を目の前に突きつけられながらも前を向き周囲にアドバイスする瓜田、そんな彼に才能を見せつけビッグチャンスを掴みながらも病気の陰がちらつく小川、そして不純な理由から門を叩き次第にボクシングに魅了され始める楢崎。
そんなステージが異なるんだけど、諦めの悪さだけは共通する三人のボクサーに対して、彼らの人生の一部を切り取りながら、強さ弱さ正しさ間違い含め、寄り添いながら魅力的に描いていく流石吉田恵輔監督という作品になっています。

そんな中でも、個人的に松ケン演じる瓜田に共感を隠し得ません。自分の才覚に気づきながら、試合の度に突きつけられながら、そして他人に揶揄されながら、気丈に振る舞い助言を送る。彼自身悔しさが無いわけないのですが、ある意味では悔しさを見せない事がプライドを保つ唯一の手段でもあったりするし、一方でその感情を周囲にポジティブに還元できる強さでもある。彼の背中が語る複雑な感情に心が締め付けられ、それに対して行動で示す強さに凄まじくカッコ良さを感じました。

さらに、木村文乃演じる千佳の立ち位置も良かったです。背景として恋愛要素も機能しており、それぞれのキャラクター性をうまく強調していました。
加えて、千佳自身の感情も複雑で、彼氏である小川に対しての「辞めて欲しいけど...」という感情も、幼なじみの瓜田の多層的な感情への理解も、彼女の視点と重なって見えて来るといった風に、観ている側の感情を乗りやすくする役目を果たしていました。

また、ボクシングって映画と相性が非常に良いんだけど、本作の使い方は凄い特殊な使われ方をしています。試合に向けたトレーニング盛り上がりと、試合の爆発って要素は無くはないんだけど、それはゴールではなく3人それぞれの別の転換点として描かれる。だからこそ、試合を通して感じる感情は、三人分の歓喜と辛さが入り混じってる、複雑で感慨深いものになります。

三人のボクサー人生の一部を愛おしく切り取った良作、オススメです!


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  1. 2021/04/25(日) 22:30:57|
  2. 2021年公開映画
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☆8 『スペース・スウィーパーズ』これが観たかったスペースオペラ!

ワールドワイドに通じるスペースオペラの傑作!

『スペース・スウィーパーズ』



~あらすじ~
2092年、宇宙のゴミ回収で生計を立てている宇宙船・勝利号には、船長のチャン(キム・テリ)、パイロットのテホ(ソン・ジュンギ)、エンジニアのタイガー・パク(チン・ソンギュ)らが乗船している。そこにプログラムを書き換えられた元軍用ロボットのバブズも加わり、チームとしてうまくやっていた。ある日、勝利号は壊れたスペースシャトルを回収し、中から7歳の少女を発見する。(シネマトゥデイ引用)


8/10★★★★★☆☆☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
Netflixオリジナル、韓国初の本格宇宙SF映画。当初は劇場公演予定も、コロナ禍でNetflixが買い取った作品になります。
監督をつとめるのは『私のオオカミ少年』などのチョ・ソンヒ。同作でタッグを組んだソン・ジュンギが宇宙船のパイロットを演じ、『お嬢さん』などのキム・テリが船長、『犯罪都市』などのチン・ソンギュや『ホビット』のリチャード・アーミティッジらが脇を固めます。

ヴァレリアンとかハン・ソロに求めてた...
愛すべきスペースオペラ(宇宙活劇)がここにあった!

面白い!完全にナーメテーター。正直韓国発の宇宙SF大作って事で、良くて「アジア産としては中々やるんじゃない?」程度と思っていたら、大きく上回ってきました。

宇宙ゴミの掃除をするはぐれ者集団が世界を救う近未来SF。
まず、そのはぐれ者集団のキャラクターが魅力的。韓国製ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと言われるのも納得で、金に目がない主人公パイロットはじめ、横暴で豪快な女船長、見た目に反して根が優しい元ギャング、ポンコツ感溢れ人間くさいロボット...オリジナリティの高い各キャラクターがしっかり立ってる上、ダメさ加減が絶妙で魅力的です。

そして突如現れる謎の少女コンニム。
彼女の導入設定も各キャラクターの魅力(特にクズっぷり)を更に引き出してくるし、そんな彼女との関わりを通して全員の過去が見えて来るという展開に、より一層このはぐれ者集団が好きになっていきます。
そんな中でも主人公のテホ。お金に汚いクズっぷりの理由が、めちゃくちゃ感情移入させられる物であり、彼のパーソナルな背景が謎の少女コンニムをどう扱うのかというこの映画の最大のテーマにおいて関わって来るという展開に、めちゃくちゃ惹きつけられるました。

そしてやっぱり、アジア映画とは全く思えない映像クオリティですよね。安っぽくなく宇宙空間でのアクションもしっかり見せてくれる上、各キャラクターの魅力をそのままアクションに活かしたフレッシュな宇宙空間の戦い方、そして特徴的な宇宙船のフォルム、本当大満足です。

起点を利かせたラストの展開にも驚いたし、テホの未来を向く選択には、ガッツリ泣いちゃいました。

スペースオペラに求める「これだ!」感がいちいち詰まってて最高of最高の映画。

是非見てください!!


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  1. 2021/04/21(水) 18:33:33|
  2. 2021年公開映画
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☆8『パーム・スプリングス』タイムループする?じゃあ楽しめ!

タイムループ×大人のラブコメ

『パーム・スプリングス』




~あらすじ~
砂漠のリゾート地パーム・スプリングス。花嫁の介添人として結婚式に出席したサラ(クリスティン・ミリオティ)は、そこで出会った不思議な雰囲気の青年ナイルズ(アンディ・サムバーグ)とロマンチックなムードになるが、突然ナイルズが謎の老人(J・K・シモンズ)に弓矢で襲撃される。近くの洞窟へ逃げ込んだ彼を追うサラは洞窟内で強い光に包まれ、目覚めると結婚式当日の朝に戻っていた。状況を飲み込めない彼女がナイルズを問いただすと、彼は数え切れないほど同じ日を繰り返していると話す。(シネマトゥデイ引用)


8/10★★★★★☆☆☆

以下 レビュー(核心のネタバレなし)
昨年から本国で話題になっていた一作。監督はこれが長編映画デビューの超新星マックス・バーバコウ。タイムループにハマって同じ日を繰り返す2人を、『セレステ∞ジェシー』などのアンディ・サムバーグと、ドラマ『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』などのクリスティン・ミリオティが演じる。また、謎の老人役で俺たちのJKシモンズも出演する。

また出た!傑作タイムループ映画!

先日Amazon primeで配信された『明日への地図を探して』もタイムループ映画の傑作でしたが、本作も負けていません。Netflixにて配信が始まった短編映画『隔たる世界の2人』も傑作だし、こんな短期間にタイムループ映画の傑作が頻発するってどういう事?

本作は主人公のナイルズがタイムループしている一日の中に、もう1人の女性サラが巻き込まれていく所から展開していくのですが、その冒頭からまあ面白い。結婚式の参列者であるナイルズは、式の中で格好や振る舞いが明らかに浮いていて、そのタイムループめちゃくちゃこ慣れ感からニヤニヤしてしまう上、その流れでサラを周りの動きを先読みして口説くシーケンス、そしてサラがその世界に入ってしまうまでの驚きの展開含め、サラの目線に近い形で何万回繰り返されただろうタイムループの1ループに出くわす感覚が最高でした。

それ以外にも、タイムループ物として間違いない旨みが、90分という時間の中に詰まっています。
異空間を自分達なりに謳歌する描写をこの手の映画で求めてしまうのですが、「どうせリセットされるんだったら好きな事をやっちゃえよ」とばかりに、『明日への地図を探して』と比べて下ネタありの大人な遊びに走るあたりも、最高でした。

また、今回のストーリーの中心が結婚式の主役ではなくて脇役で、人生の苦味を知った大人たちってのが、うまく活きてました。特に、サラには終盤まで隠されるある事情があって、それがまたたまらないんですが...タイムループ空間だからこそ気がつく恋愛観にまつわる2人それぞれの成長が、意味を持ってタイムループからの脱出に繋がる展開も、素晴らしかったです。

また異色な存在であるJKシモンズも良いですよね。作品のアクセントになってるのはもちろん、この映画の主人公2人では語れない「時間を刻む日々の尊さ」という視点は、彼がもたらしてくれます。

カリフォルニアのリゾート地パーム・スプリングス舞台立てと、映像のオシャレさ、ポスターのまとを得てる感じ...
みんな好きでしょ!

タイムループ映画としての旨味を、最大限に取りこぼしなく表現された一作。
こちらもオススメです!



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  1. 2021/04/20(火) 16:51:48|
  2. 2021年公開映画
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