
~あらすじ~
衣装デザイナーの真知子(前田敦子)は後悔しない恋愛を求めながら、ストリーマーの怜人(菊池風磨)を養っている。元子役のタレント・鈴(趣里)は父親の会社で働いている金持ちの富(千葉雄大)と暮らし、自己中心的な彼にかいがいしく世話を焼いている。そんな真知子や鈴、ショップ店員の美和(伊藤万理華)、風俗嬢の七瀬(黒川芽以)らダメ男と付き合う4組のカップルに、あるとき危機が訪れる。
(シネマトゥデイ引用)
8/10★★★★★☆☆☆
以下 レビュー(ネタバレなしです!!)
【作品背景】
根本宗子さんが主宰し、作、演出を務める劇団「月刊 根本宗子」で、2015年に上演された舞台を元にした作品。
根本宗子さん本人が映画向けに新しいアイデアを組み込みつつ再構築する形で脚本を描き、監督を『傷だらけの悪魔』の山岸聖太さんが務めます。
元々はミュージックビデオを多く手掛けた方で、長編映画としてら2作目になるんですが、彼のルーツ故の手腕が十二分に発揮された映画に仕上がっています。
本作は、ダメ男と交際する女性、合計4組8人の男女が登場する群像劇の形を取っており、その面々が非常に多彩で豪華です。
前田敦子と菊池風磨を筆頭に、趣里と千葉雄大、伊藤万理華とオカモトレイジ、黒川芽以と三浦貴大など、全員がタイプが全く違って印象に残るキャラクターを演じており、その辺りも注目すべきポイントです。
【感想(ネタバレなし)】
面白い!!
4種類の「ダメ男」との関係を、翻弄される側の女性目線で描く群像劇。
四者四様に「ダメ男」のタイプが全く違って、ある人は「自尊心が強かったり」、ある人は「優しさの押し付けだったり」、そのどれもがあくまでカッコ付きで....特に男性に多いかもしれないイヤーな所をリアルに誇張していて、ずっと観てられる。
見終わった後に、「誰が1番ダメ男か」で盛り上がれる映画になっています。
そんな四組四様の男女を描く群像劇なので、映している対象を切り替えながら、映画として一本の軸をもって進めて行くのですが、その描き方がめちゃくちゃ秀逸。
どういうことかというと...
4組のやり取りをハイテンポで切り替える中で、一つ一つの物語は独立して進んでいるんですが、そこに内包するテンションは常に同期して変化する事で、映画全体で観るとテンションが何倍にもなる...そんな爆発力のある映画になっていて、問答無用に楽しい映画になっていました。
また、同じ「ダメ男」でも、表面的な所から明らかな人と、そうじゃない人ってのがいて、本作は映画的な時系列操作を使う事で、人によって「ダメ男」っぷりが浮かび上がるタイミングを変化させ奥行きを作ってるっても、巧みでした。
次第に、女性側の逆襲展開が色濃くなるんですが、そうすると物語上「歩み寄り努力の欠如」をはじめとする女性側の行動のモヤモヤを感じる所が多々あります。
多々あるなーなんて思いながら見ていたら...それを逆手に取ったクライマックスの切り口。
これが痛烈で、しかも「泣き寝入りの推奨」に見えかねない所を、【ある演出】によって回避してるバランス感覚...これには、ぐうの音も出ん。
全方位的に良かったかと言われるとそうでもない所もあります。
本作の四種四様男女のストーリーが重なり、テンションをインフレしていくみたいな所が、面白さや楽しさを作り出しているのは間違いない一方、「クズレベル」が結構違う中で一様に処理しちゃってる違和感、モヤモヤは残る作品でもあるなと感じました。
ただ、役者陣も素晴らしく、全然面白さの方が上回ります!
オススメです!!

