鬼才天才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作。
『メッセージ』

~あらすじ~
巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女にある感覚が...やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(90/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『ボーダーライン』や『プリズナーズ』、問題作『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作!
温度は低いが湿度は高い傑作を連発、今秋には『ブレードランナー』続編の公開も控える、今最も注目すべき監督の一人です。
そんな鬼才の最新作は、テッド・チャン著の「あなたの人生の物語」を原作とするSF。
主演にエイミーアダムス、共演にジェレミー・レナーを迎えた今作は、今年度のアカデミー賞でも複数ノミネート、「音響編集賞」を受賞しました。
興奮を押されられず、早速の雑感。
この監督の作品、どれもこれも一癖も二癖もあり大好きなんですが、今作ははっきり飛び抜けています。
ネタバレなしでこの映画の良さを伝えるのは非常に難しい...
なんとかネタバレなしで感想を書きますが、このレビューすら見ずに、全身全霊で浸ってほしい。
それほどの極上の映画体験。
2017年で一本しか映画が見れないとしたら、私はこの映画を選びます!
エイミー・アダムスが演じるルイーズは、大学で弁を取る、言語学の第一人者。
ふとした瞬間に、最愛の娘を失った悪夢を見てしまいます。
そんな中で突如、複数の巨大宇宙船が世界各地に襲来したというニュースが飛び込んできます。
どうやら人類とコミュニケーションを試みる地球外生命体。
彼女の元に、軍と共に彼らの目的を探るよう、依頼がきます。
侵略なのか?友好なのか?それとも単なる旅行なのか?
目的も言語もテクノロジーも不明な状況で、宇宙船の中へ招かれ...
未知との遭遇に、未知への恐怖、そして未知の体験。
これらは序章に過ぎません。
「言語は思考を支配する。」
そんな考えの元で、なんとか彼らとコミュニケーションを図るべく、文字の解明と意思の伝達手段構築を、緻密に計算された手順で取り組みはじめます。
改めて気がつく言語という物自体の果てしなさと、僅かに意思疎通が出来た時の高揚。
かつてない、「未知との遭遇」のその先をこの映画は体験させてくれます。
更に物語はあらぬ方向へ。
内向きな「今の世界」を捉えた、あまりに滑稽で情けない、でも確信をつくような、皮肉な展開になっていきます。
手を取りあう普遍的なメッセージ。
ここまでで十二分に面白いのですが、この映画の傑作たる所以は、更にこの先にこそあります。
張り巡らせた伏線を見事なまでに回収しながら、この手の普通の映画とは全く逆のベクトルの人生賛歌。
映画だからこそ、SFだからこそ可能にする語り方があまりに感動的で、「あの映画」(リンク先にネタバレ)とは反対のはず哲学にもう大納得!!
そうなんだよ、愛おしいんだよ。
こんな映画体験した事がないし、これだから映画はやめられない。
もちろん、自然音を巧みに使った、音のトータルコーディネートも素晴らしく、唯一無二の映画空間を与えてくれます。
映画好きにも、SF好きにも、今の映画に飽き気味な人にも是非!
オススメです!
映画という言語で、思考を支配されるはず。
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