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75『22年目の告白 私が殺人犯です』それはまるでファントムペインのような

藤原竜也をどこまでも求めて...

入江悠監督の最新作はサイコサスペンス!
『22年目の告白 私が殺人犯です』





~あらすじ~
阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した1995年、三つのルールに基づく5件の連続殺人事件が起こる。担当刑事の牧村航(伊藤英明)はもう少しで犯人を捕まえられそうだったものの、尊敬する上司を亡き者にされた上に犯人を取り逃してしまう。その後事件は解決することなく時効を迎えるが、ある日、曾根崎雅人(藤原竜也)と名乗る男が事件の内容をつづった手記「私が殺人犯です」を発表し……。
(シネマトゥデイ引用)








☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『SR サイタマノラッパー』や『ジョーカーゲーム』『太陽』の入江悠監督最新作!
あらゆるエンターテイメントなフィクションジャンルに対し、「日本でも、いや日本だから出来るはずだ!」と臆することなく強気で挑んでいる、日本で唯一無二の映画監督です。
そんな彼が、今作で藤原竜也&伊藤英明のW主演に迎えて挑んだのが、ノワールであり、サイコサスペンス。
秀作韓国映画の『殺人の告白』が元になっているのですが、バイオレントな要素は残しつつも、日本だからこその背景と人間ドラマを絶妙に組み込んだ、より「感情」に焦点を当てた、素晴らしい日本のサイコサスペンス映画になっていました!

「はじめまして、私が殺人犯です。」
時効を迎えた連続殺人事件で、時効成立後に記者会見を開き、衝撃の告白をする曾根崎雅人。
目的は、正確に語られていない自身の事件を明らかにし、贖罪すること。
しかし、「被害者の最も近しい人に、死ぬ瞬間を間近で見させる」という事件のあまりに生々しい詳細を、彼は論文でも発表するかのように意気揚々と説明します。
この記者会見に始まり、本の出版、関係者への謝罪、そして握手会、、、
映画の前半は、藤原竜也演じるこの男のサイコパスな言動と、周囲をカルト化させていくカリスマ性により、もう画面から目が離せなくなっていきます。

もう一人の主人公である、伊藤英明演じる中堅刑事の牧村航。
彼もまた、連続殺人事件によって、人生を狂わされた一人(詳しくは知らない方がよい!)です。
彼が中盤以降の物語を進め、特に事件の詳細が明らかになるにつれ、人間の「感情」を語る役割を担っていきます。

1995年という連続殺人事件の起きた時代。
この時代には二つの意味があります。
ひとつは、「時効制度の改革前夜」だという事。
この年を境に、殺人事件のような死刑の対象になりうる事件は、時効は適用されなくなりました。
この映画の設定が成立する最後の年だった訳です。
そしてもう一つ、これこそがこの映画のテーマになっていく、阪神大震災や地下鉄サリン事件等「ショッキングな出来事が相次いで起きた時代」だという事。
秀逸すぎる冒頭が映像だけで語るように、時間などあっという間に流れ去り、事件は風化してしまいます。
しかし、それは被害者の関係者にとっては全く違います。
どれだけ時間がたっても、無くした腕が痛むファントムペインのように、無いものを治療する事などできません。
特に、目の前で最も大切な人が殺されたりしたならば...
この映画では、リメイク元の韓国映画ではある意味切り捨てていた所まで、日本独自の設定を持ち込む事で掘り下げに成功しているのが、本当に素晴らしいのです。

そんなこの映画のテーマを見事に利用した、驚きの展開が、後半で待ち受けます。
詳しく書く事は出来ませんが、見事に溜飲を下げられました...
特にテレビ中継シーンが印象的ですが、人と人が対峙している場面での、物語が動く予感、これが本当最高でした。

多少の嘘くさいシーンはあれど、
私はリメイク元作品の上をいっていると思います!
劇場で見るべき作品です!





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