何処を取れども超満点な韓国製ゾンビ映画!
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
~あらすじ~別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間に車内はパニック状態に。異変に気づいたソグは、サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)らと共に車両の後方へ避難する。やがて彼らは、車内のテレビで韓国政府が国家非常事態宣言を発令したことを知り……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆(95/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし) またまた年間ベスト級!まさかまさかの韓国初のゾンビ映画。
人を選ぶジャンル映画に、莫大な資金と、並外れた熱量を注ぎ込み、実際に大ヒットを記録。
観客を軽視せずに、膨大な手間と時間、的確なビジョンを持った映画が売れ、それがまた好循環をもたらす...
数年おきに超傑作が飛び出す韓国のエンターテイメント映画、本当羨ましいです。
しかも、
ゾンビ映画というジャンルを創りしジョージ・アンドリュー・ロメロが永眠した年に、こんなにも正当でフレッシュなゾンビ映画が出てくるとは...監督は、韓国アニメーション業界で活躍してきた若き才能、ヨン・サンホ。
今作が長編実写映画のデビューになります。
主演を務めるのは、『トガニ 幼き目の告発』や『サスペクト 哀しき容疑者』のユン・ユ。
『殺されたミンジュ』マ・ドンソクや、同じく『トガニ』のチョン・ユミ、人気子役のキム・スーアン等が共演、ドラマを奏でています。
ゾンビ映画といえば、人間ドラマを度外視したB級映画...?
本当に、誰がそんな事を決めたのか。いや、私もこの映画を見るまでは、少なからずそう思うところがありました。
ごめんなさい。
もう、そんな感情は一切ありません。
私のように先入観がある人にほど、この韓国発のゾンビ映画を見て欲しい!
今作の舞台は韓国版新幹線である、高速鉄道KTX。
そこに乗り込んだのは、別居中の妻の元へ向かうソグと娘スアン。
彼ら以外にも野球部一同や老姉妹、身籠った夫婦などが、KTXに乗り込む
それぞれの「日常」が描写されます。
そんな何でもない
「日常」の中の違和感、特に電車が発つ瞬間にスアンの目に一瞬、ほんと一瞬だけ飛び込んでくる光景が、この後の期待と不安を強烈に煽って来ます。そして急激に発生する、KTXの動く密室空間の中でのパンデミック。。。
自体を飲み込めぬまま襲われる乗客。
次第に自体を理解し唯一の逃げ場「後方」に逃げる乗客。
前で起こった事を理解できぬまま襲われる乗客、更にそしてそれを見て逃げ惑う乗客。
繰り返されるループですが、
逃げる先には限りがある訳で...そんな素晴らしい幕開けを飾るゾンビの襲撃は、最後まで衰えません。
新幹線のごとく、次から次へと襲ってるゾンビ描写の素晴らしさ。
僅かな希望と圧倒的な絶望の相乗効果で、乗客を、そして観客を徹底的に追い込みます。笑ってしまう描写と、絶望感を煽る描写のバランスも素晴らしく、楽しいし怖い...なんだよこれ最高かよ!
これまでの
ゾンビにない強み「走る!」と弱点(内緒!)を活かしたストーリーテリング、ゾンビ映画の自由さを活かした脚本の素晴らしさを痛感します。
そしてこの映画が、近年のゾンビ映画で飛び抜けて凄いのが、
楽しすぎるゾンビ映画と、重厚な人間ドラマを両立してしまった事。
ゾンビのパンデミックというのは極めて非現実的な現象ですが、
実は同時にこれ程「人間を自由に追い詰められる」手段は他にありません。実はこれこそが、ゾンビ映画の原型を作った故ロメロ監督の真骨頂。
単に低予算で緊迫感を出せるだけでなく、実社会での暗喩(今作はもろに朝鮮戦争)や皮肉、人間の本質を映し出すのに非常に適したジャンルでもあります。
日本で言うゴジラの立ち位置なのかもしれません。
今作も、人間の醜さが晒され、
怖いのはゾンビなのか人間なのか、その境界線が曖昧にぬります。極限状態で描かれる主要人物のキャラクターも最高です。
そもそもそんな状態になる前から、というのりなる前だからこそ、際立っている主人公ソグのダメ人間っぷりに好感大。
競争社会での勝ち組故のダメさ、特に何がダメなのか全く気付いてない様子が、地味ながら中々イライラします。
微妙な距離感の野球部男女や、「やめて...いや、でかした!!」なおばあちゃん、超が100個つくクソ野郎なおっさん、最も守りたくなる妊婦なども最高なのですが...
やっぱりマ・ドンソク演じる妊婦の夫の巨漢兄ちゃんサンファでしょ!
全人類が彼に惚れるはず。
とにかく、
ゾンビ描写の中でキャラクターを立てられていった彼らが、ラストに向けて織り成すドラマに涙が止まりません!!更に極めつけは、どう終わらせるかと思っていた中でのあのラスト。
人とゾンビを隔てる物を◯◯で表現するとは...
確かに!!という共感と共に、線路のように続くこの先の人生を思い涙がまた...
ゾンビ映画なのに泣いた...
いや、ゾンビ映画だからこそ泣いた!斬新かつ痛烈な展開で、それらが容赦なく人間を追い込みドラマを作り出す。
大傑作です!!!
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画
- 2017/09/21(木) 00:05:03|
- 2017年公開映画
-
| トラックバック:14
-
| コメント:4
隔てる物◯◯って何でしたっけ?(^^)/
主人公ソグの変化?に共感したところであの結末だから周り中の人たちはみな鼻すすってました。
うまいです。
- 2017/09/22(金) 08:39:57 |
- URL |
- まっつぁんこ #L1vigvx6
- [ 編集 ]
コメントありがとうございました。
韓国のゾンビ映画もなかなか面白いですね!
しかもドラマ部分もちゃんと描かれていてまさかゾンビ映画で泣かされるとはびっくりですね。
マ・ドンソクさんがカッコ良かったです~っ
- 2017/09/22(金) 13:35:50 |
- URL |
- yukarin #-
- [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
人間とゾンビを隔てるというのは少し言い過ぎかもしれませんが、◯◯は人間特有のコミュニケーション手段である「音楽」ですね。
「音楽」を使った伏線もまかれていて、それがあのラストで彼女に刻まれた父親の存在と、そんな父親の生を引き継いで生きる今後を思い起こされ、もう感動が止まんないです...
- 2017/09/22(金) 17:32:54 |
- URL |
- 西木寸 #-
- [ 編集 ]
コメントありがとうございます!
マ・ドンソクになら抱かれても...男の自分ても不覚にもそう思ってしまいました...
- 2017/09/22(金) 17:33:59 |
- URL |
- 西木寸 #-
- [ 編集 ]
【ネタバレ注意】
いやもう、面白いったらない。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、パンデミックの恐怖とノンストップアクションが組み合わさった、見事としかいいようのない娯楽作だ。
あえてジャンル分けをするならば、本作はゾンビ映画になるのだが、あまりにも面白い要素がいっぱいで、もはやジャンルなんてどうでもいいほどだ。
疾走する高速列車を舞台にした本作は、暴走列車を...
- 2017/09/22(金) 00:03:57 |
- 映画のブログ
新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)韓国
原題:Train to Busan監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ /チョン・ユミ /マ・ドンソク /キム・スアン /チェ・ウシク /アン・ソヒ
【あらすじ】
仕事人間のソグは娘のスアンを別居中の妻に会わせるため、ソウル発プサン行きのKTXに乗り込むが・・
【感想】
今日は、めずらしく韓国映画。
ゾンビ映画はもう...
- 2017/09/22(金) 04:31:38 |
- アリスのさすらい映画館
プサンまで、必ず送り届ける…
詳細レビューはφ(.. )
https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201709010000/
新感染 ファイナル・エクスプレス (竹書房文庫) [ 藤原友代 ]価格:810円(税込、送料無料) (2017/8/26時点)
- 2017/09/22(金) 06:02:24 |
- 日々“是”精進! ver.F
『新感染 ファイナル・エクスプレス』 を試写会で鑑賞しました。
スピード感もあって面白かった。
【ストーリー】
別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間...
- 2017/09/22(金) 08:52:26 |
- 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
絶対に、守り抜く。
ゾンビ映画の歴史を塗り替える大傑作だ。
韓国全土を襲う感染爆発の中、ザック・スナイダー系の走るゾンビを乗せた、ソウル発プサン行きの高速列車・KTXが突っ走る。
細長い列車の構造を最大限生かしたサスペンスは、文句なしにスリリング。
しかし本作を特別な作品足らしめているのは、ヨン・サンホ監督の過去の作品と同様、圧倒的な密度を持つ人間ドラマだ。
極限状態でカリカチ...
- 2017/09/22(金) 19:44:51 |
- ノラネコの呑んで観るシネマ
【出演】
コン・ユ
マ・ドンソク
チョン・ユミ
【ストーリー】
別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウ...
- 2017/09/22(金) 20:15:21 |
- 西京極 紫の館
評価:★★★【3点】(10)
…だから走るゾンビはダメだって^^;
- 2017/09/22(金) 20:30:07 |
- 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~
韓国。 証券会社のファンドマネージャーをしている男ソグは、幼い娘スアンを別れて暮らす妻の元へ送り届けようと、朝5時30分ソウル発プサン行の特急列車KTX101号に乗り込む。 発車直前、人間を凶暴化させる謎のウイルスに感染した女が12号車に駆け込み、居合わせた者たちに噛み付いた。 被害は瞬く間に列車内へ広がっていく…。 感染パニック。
- 2017/09/23(土) 13:09:31 |
- 象のロケット
ソウルからプサンへと向けて走る高速鉄道KTXの車内で繰り広げられる壮絶なゾンビ・パニックを描き、本国韓国のみならず世界中で大きな話題を集めたノンストップ・サバイバル・アクション。謎の感染爆発に直面した登場人物たちによる、愛する者を守るための決死のサバイ...
- 2017/09/23(土) 21:15:28 |
- パピとママ映画のblog
ゾンビだらけのエクスプレス。大切な命は何があっても、絶対に守り抜け!
何て気持ちのいいゾンビ映画なんだ!一切の中弛みもなく、ノンストップで最初から最後まで突っ切ってくれるこの清々しさに加え、命を賭けた男たちの泣きのドラマ。ギレルモ・デル・トロが「傑作!...
- 2017/09/24(日) 16:26:18 |
- こねたみっくす
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
9月1日(金) 109シネマズHAT神戸 シアター9にて 10:40の回を鑑賞。 2D:字幕版。
- 2017/09/26(火) 20:46:09 |
- みはいる・BのB
コン・ユ&マ・ドンソクからメッセージ!『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編
☆・・・私は、どうにも、大陸・半島の良くない点が嫌いで、それが良い点よりも勝っているので、基本、大陸・半島関係のものを映画に限らず避けている。 が、もちろん、楽しいものは...
- 2017/10/04(水) 10:05:58 |
- 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭