印象派映像作家ノーラン監督の会心作!
『ダンケルク』
~あらすじ~1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし) ハリウッドを代表する映画監督でありながら、常に賛否両論が渦巻く。
『インターステラー』や『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督の最新作は、初めて実話ベースの戦争映画!
圧倒的な映像表現と壮大な音楽、複雑な時系列操作やクロス・カッティングを活用した奇抜なプロット、膨大な情報量に、物語上の嘘。
直接物語としては必然性を持たない要素や、リアルな世界ではありえない嘘による印象操作で、さもリアルでしょ?完璧でしょ?と真面目なルックをしている...そんなノーランの作品は批判されがち。
私はどうかというと、ノーランが作る印象で実際に感情を持っていかれるのだから、寧ろ映像作家として天才的に腕があるんじゃないの?と思っており、全然好きです!
好き嫌いは割れども、絶対に評価されるべき監督と思ってます。
そんな
印象操作の天才ノーランの最新作は、第二次世界大戦下の「ダンケルクの戦い」、
ドイツ軍のイギリス侵攻により、大軍に囲まれ孤立無援となったイギリス・フランス兵約35万人が6日かけて救出された...そんな歴史的奇跡の映像化に挑みます。
「陸」「海」「空」交差するオムニバス映画のような作りで描かれる今作。
そんな「陸」の主人公を演じるのが期待の新星俳優フィオン・ホワイトヘッド。
「海」にはオスカー俳優のマーク・ライランス。
「空」にはいま最も味のある俳優トム・ハーディなどが登場します。
いきなり戦場に放り込まれる冒頭。
押し寄せてくるドイツ軍から、走って逃げる若者に寄り添った場面から始まり、
放り込まれたら最後、ラストまで「ダンケルク」という戦場に私達を縛り付けます。前述の通り、今作は「陸」「海」「空」三つの視点から成り立っています。
それら3つの戦場を交互に見せる中、どの場面においても多くが兵士にピタリとついた視点で描かれます。
目線近くで映されるカメラワークが非常に印象的で、POVで目線を体感させるわけではないのですが、
海に沈むとカメラも同時に沈んだり、近づく爆撃がカメラに飛び込んできたり、戦争の圧倒的な命を奪う力を体感させます。私は通常スクリーンでしか見ていませんが、大画面であればより没入感が増すのは明らかで、可能であるならばより大きなスクリーンをオススメします!
また、説明セリフやバックグランドの説明なんてのもほとんどありません。
どういう戦争なのかのロジックは抜きに、
その身一つで右も左も分からないまま戦争に放り込まれる....これは大半の兵士目線そのものなのかもしれません。もちろん登場人物の背景もほとんどわかりませんが、この映画には丁寧な人物描写など必要ありません。
同じく今年度の傑作戦争映画に『ハクソーリッジ』がありますが、丁寧な人物描写をする事で戦争の残酷さを強調したそちらとは好対象。
『ダンケルク』では、
圧倒的な映像表現で描かれる彼らに寄り添った戦争体験、その環境下での彼らのリアクション、そして大きな空白が、観る人毎に適した無数のストーリーを生み出し、合わせ鏡としてその場にいるような圧倒的な臨場感と没入感を加速させていきます。そんな圧倒的な臨場感と没入感を描く為に、多くの物語上の嘘を駆使している辺り、やはりノーラン映画だなと感じます。
まず、人体破壊がほとんど出ません。
戦争に人体破壊がないのはおかしいのですが、没入感を際立たせる為に、戦争から人体破壊を排除する嘘をついています。
更に史実に対する嘘もいくつか。
実際は大量に飛んでいたスピットファイアも、今作は3機しか出てきません。
CGで中途半端な現実を描くよりも、3機の本物で物語に嘘をつく方を優先しています。
また、時間軸の交差のギミックも、内容に必然性を感じませんでした。
否定派から見れば、そんな多くの嘘で描いているのに、「類似戦争体験」と真面目なルックをしているのが、今作も気に入らないだろうなと感じます。
しかし私は、
それら効果でまんまと戦場に没入、めちゃくちゃ楽しんでしまいました。とにかく、稀代のフィルムメーカーの最新作にして、大画面で見てこその映画、
是非劇場で見ていただきたい!!
オススメです!!
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画
- 2017/09/28(木) 23:15:57|
- 2017年公開映画
-
| トラックバック:30
-
| コメント:1
映画の解説を一切読まずに見たので、後に読むと、なるほどそういうことでしたかと思ったことでした。
「陸」「海」「空」交差するとか、戦争の背景や自機3機に「嘘」等々・・・。
「嘘」については、主題を訴える手法にすぎぬので、映画では許されると思います。観賞者が後から勝手に感じれば済むはなしです。
音楽がが不安感をあおり、ただ只、混乱した戦場に放り込まれた印象でした。
- 2017/10/02(月) 10:37:40 |
- URL |
- もののはじめのiina #cdb7H0bk
- [ 編集 ]
絶対、生き残る…
詳細レビューはφ(.. )
https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201709090000/
【輸入盤】ダンケルク [ ダンケルク ]
- 2017/10/01(日) 05:47:20 |
- 日々“是”精進! ver.F
第2次世界大戦でドイツ軍によってフランス北端の町に追い詰められた大多数の連合軍兵士を救出する様子を描いた作品です。
- 2017/10/01(日) 08:02:41 |
- 水曜日のシネマ日記
いかなる犠牲を払おうとも
1940年、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍に追い詰められた英仏連合軍40万の兵士たちは絶体絶命の状況を迎えていた。
若き英国兵トミーが街中を必死で逃げ回り、ようやく辿り着いた海岸には、おびただしい数の兵士たちが救助の船を待...
- 2017/10/01(日) 09:13:13 |
- CINECHANが観た映画について
クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作による戦争映画。第2次世界大戦の”ダンケルクの大撤退”(ダイナモ作戦)を、陸・海・空の3つの視点から描きます。
ダンケルク (Dunkirk)
1940年5月26日。連合軍の兵士40万人はドイツ軍に包囲され、フランス北端のダンケルクの海岸に追い詰められます。イギリスへの撤退命令が出て、英国陸軍兵のトミーは、浜辺で出会った...
- 2017/10/01(日) 09:38:52 |
- セレンディピティ ダイアリー
『ダンケルク』 を試写会で鑑賞しました。
上映前にクリストファー・ノーラン監督と山崎貴監督が登壇して山崎監督に
ノーラン監督が教えてました。おかげで山崎監督の今後が楽しみになりました
【ストーリー】
1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い...
- 2017/10/01(日) 09:56:08 |
- 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
評価:★★★★☆【4.5点】(00)(00)
噂通りの体感系アトラクション映画と言っていいかも。
- 2017/10/01(日) 10:07:11 |
- 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~
「ダンケルク」 TOHOシネマズ日本橋
ポーランドへ侵攻し、北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。ダンケルクに取り残
- 2017/10/01(日) 10:18:14 |
- Spice -映画・本・美術の日記-
イギリス&アメリカ&フランス 戦争 監督:クリストファー・ノーラン 出演
- 2017/10/01(日) 10:31:10 |
- 風情☭の不安多事な冒険 Part.5
Fan's Voiceさん独占試写会。客入りは若干空席のある9割位、客年齢は若い、男女半々位だ。
- 2017/10/01(日) 12:11:47 |
- 新・辛口映画館
生き残るために 公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk 実話を基にした映画 監督: クリストファー・ノーラン 1940年、英仏連合軍40万人の兵士がドイツ
- 2017/10/01(日) 13:50:30 |
- 風に吹かれて
【出演】
フィオン・ホワイトヘッド
マーク・ライランス
トム・ハーディ
【ストーリー】
1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミーら若い兵士たち...
- 2017/10/01(日) 17:32:45 |
- 西京極 紫の館
これは映画か。
あまりに激しい緊張を強いられた私は、気持ちが悪くなるほどだった。いや、気持ちが悪くなった。
そのとき、確かに私は戦場にいた。絶望的な浜辺にいた。水没する船倉にいた。墜落する飛行機にいた。銃弾が降り注ぐ中にいた。死体が転がるあいだを歩いた。
そして、わずかに美しいものを見た。海の冷たさにもかかわらず、暖かいものがながれていた。勇気が閃いていた。暗く、荒れ果てた世界...
- 2017/10/01(日) 18:40:04 |
- 映画のブログ
『ダークナイト』『インターステラー』などのクリストファー・ノーランの最新作。
イギリスでは誰もが知っているという「ダンケルクの戦い」という実話の映画化。「ダンケルクの戦い」というのは実は撤退戦で、第二次大戦中の1940年にフランスのダンケルクに追い込まれたイギリス兵たちの負け戦を描いている。
『ダンケルク』は3つのパートに分かれている。ダンケルクの浜辺で救出を待つ40万...
- 2017/10/01(日) 21:23:39 |
- 映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
第二次世界大戦の序盤、破竹の勢いで勝ち続けるナチスドイツの勢いに押された連合軍が、ヨーロッパ大陸から必死の撤退を行うダイナモ作戦を描いた作品。
『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』などの作品で、不思議な世界をCGを使わず欲しいままに映像...
- 2017/10/01(日) 21:46:48 |
- 勝手に映画評
映画『ダンケルク』が、ただただ凄かったです! 予告編を見て想像できる仕上がりの何
- 2017/10/01(日) 22:22:29 |
- 大江戸時夫の東京温度
残酷なものほど美しい。
凄まじい映画だ。たった106分の映画なのに、何て長く感じることか。もちろん見終わった後は心身共にヘトヘトになるはずだったのに、なぜか見てはいけない美しいものを見た喜びで心の奥底が満たされている。
戦場の臨場感で震えさせたその先に、映...
- 2017/10/01(日) 23:38:51 |
- こねたみっくす
ハンパない臨場感で、泳げない私は観ている間に何度溺れ死んだことか・・・
ただの歴史もの的戦争映画ではなく、ひとりのヒーローを描く歴史エンターテインメントでもない。
多くの一般の人たちが自らの命の危険も顧みず救助に貢献する姿に、思わず温かい涙が目に滲むのだ。
(ラストに言及しています)
- 2017/10/02(月) 00:49:16 |
- ノルウェー暮らし・イン・原宿
つねに斬新な映像とリアリズムを追求し、観客の度肝を抜く作品を創り続けている天才クリストファー・ノーラン監督。
その彼が挑んだのは、1940年、第二次世界大戦フランス北端のダンケルクという港で起きた、史上最大の撤退作戦である。
1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィ...
- 2017/10/02(月) 07:54:51 |
- アロハ坊主の日がな一日
第二次世界大戦中の1940年。 ナチスドイツのフランス侵攻により、40万人ものイギリスとフランスの連合軍兵士たちは、ドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクまで追い詰められていた。 圧倒的な数のドイツ敵軍が迫る中、民間船までもが関わった史上最大の救出作戦が動き出す…。 実話から生まれた戦争アクション。
- 2017/10/02(月) 08:30:28 |
- 象のロケット
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
9月12日(火) 109シネマズ大阪EXPO CITY シアター11にて 12:40の回を鑑賞。
次世代レーザーIMAX 2D:字幕版。
9月19日(火) OSシネマズ神戸ハーバーランド スクリーン1にて 13:50の回を鑑賞。
通常上映 2D:字幕版。
- 2017/10/02(月) 14:16:07 |
- みはいる・BのB
第二次世界大戦の西部戦線では、英仏連合軍の兵士40万人がドイツ軍の猛攻の前にフランス北端のダンケルクに追い詰められてしまう。これに対しイギリスが決行した救出作戦にはヨットや漁船など多くの民間船も参加し、結果的として兵士の犠牲を最小限に抑えることに成功した...
- 2017/10/02(月) 20:35:22 |
- パピとママ映画のblog
危機一髪の臨場感
* * * * * * * * * *
クリストファー・ノーラン監督の、初の実話をもとに描く戦争映画。
1940年5月、英仏連合軍は
フランス北部ダンケルクでドイツ軍に追い詰められてしまいます。
背面は海。
40万の兵士が残り3方をドイツ軍...
- 2017/10/02(月) 20:49:26 |
- 映画と本の『たんぽぽ館』
“We shall never surrender.”
鬼才クリストファー・ノーランの最新作は、10本目の監督作品にして自身初となる、実話ベースの異色の戦争ドラマだ。
第二次世界大戦初期、ドイツ軍の怒涛の侵攻により、フランスのダンケルク港に、英仏両軍40万人の将兵が追い詰められる。
総攻撃が迫る中、チャーチルは孤立無援の彼らを救出するために、軍民を総動員した”ダイナモ作戦”を発動。...
- 2017/10/02(月) 22:41:45 |
- ノラネコの呑んで観るシネマ
生き抜け
絶体絶命の地“ダンケルク”に追い詰められた若者たち。残り時間、わずか。
MOVIX京都にてダンケルクを鑑賞。う~ん誰か書いていたけど微妙というのが全体の印象かな。かなりリアルであるけど、なんか今一つピンとこないのは何故なんだろう。無茶苦茶緊迫感もないんだよね。
かなりお金もかかっているようだし。エキストラの人数も半端ない!
主役のトミーを演じたのは...
- 2017/10/04(水) 00:16:56 |
- 銅版画制作の日々
☆・・・面白かった! 戦争映画じゃないね、重圧(被プレッシャー)映画だ。 なんか、巨大な物質が軋むかのような音楽が、物語全編を覆い、 銃撃の音は耳元で鳴り響く。 船も埠頭も大地も海も、なんら敵からの遮蔽とならず、攻撃の前には藻屑でしかない。
面白い...
- 2017/10/04(水) 09:53:00 |
- 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
Dunkirk(viewing film) クリストファー・ノーラン監督の映画は
- 2017/10/04(水) 17:50:41 |
- Days of Books, Films