シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

65『亜人』取捨選択が抜群

人気漫画の実写映画化は、アクション一点突破痛快作!

『亜人』



~あらすじ~
2017年の東京。研修医の永井圭(佐藤健)はトラックと衝突し死亡するが、その直後、肉体が回復し生還。不死身の新人類“亜人”であることが発覚する。圭は追われる身となり、亜人研究施設に監禁されるが、“帽子”と呼ばれる亜人のテロリスト・佐藤に助けられる。しかし、佐藤は国家転覆計画に加担しない圭を敵視。圭は佐藤の暴走を止めるために立ち上がる。
(シネマトゥデイ)







☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『踊る大捜査線』シリーズや『幕が上がる』の本広克行監督の最新作。
元々はテレビドラマ畑出身ですが、踊るシリーズでのドラマ、映画の大ヒットをきっかけに映画監督としての色が濃くなっております。
2012年までのROBOT所属時代はドラマの延長線上で、気の抜けた作品が多かった印象の同監督ですが、2013年にProduction I.G所属となってからは、完璧なアイドル映画の『幕が上がる』や今作『亜人』と、映像作家として段違いにステージが上がった印象です!

そんな本広監督が選んだのが、good!アフタヌーン(講談社)で大人気掲載中の「絶対に死なない新生人類」を描くアクション漫画『亜人』。
正直タイトルのセンスは全く好きじゃないんですが、内容はというと運命からの脱却物×ノワール×心理戦を含めたアクションという感じで、かなり面白い。
以前連載中の漫画、そして人体破壊からの再生も内容的に必須な要素な為、どのように映像化するのか興味津々でした。



絶対に死なない新生人類の「亜人」
そんな「亜人」と思わしき佐藤健演じる永井への人体実験描写からこの映画は始まります。
人体実験の決定的な描写はないのですが、実験する側の淡々とした様子が、何よりもグロテスクで、人類に対する嫌悪感と気持ち悪さをダイレクトに食らってしまいます(もちろん褒めてます!)
この気持ち悪さを掘り下げると、見ている私達も「そうならないとは否定出来ない」というところがあるのかもしれません。


そんなもやもやした最悪(最高)の幕開けから、綾野剛演じる佐藤の登場により、一気にジェットコースターアクションが始まります。

亜人VS警察、亜人VS特殊急襲部隊SAT、そして亜人と亜人の戦いや、彼らの能力「黒い幽霊」とのタッグ戦...
この映画の最大の賞賛ポイントはそれらアクションの見せ方に尽きます。
特に「黒い幽霊」のCGは全く違和感がなく、CG表現で満足せずに手段としてアクション全体を盛り上げてるのが、本当に素晴らしい。
黒ベースの再生CGが、一見グロそうな描写を上手くカモフラージュ出来ています。
そして単体アクションを連続の物として際立たせているのが、来るぞ来るぞと、高揚感を煽る音の使い方。
それらによるアクションコーディネートが素晴らしく...
他がどうこうではなく、単純にアクションシーンがそこらの洋画に負けていないどころか、こんなフレッシュなアクション海外製では見られないですよ!
余計な血肉を切り落とし、アクションに集約したストーリー展開、これはもう正義なのではないでしょうか。


佐藤健のアクションはスクリーン映えするなとか、綾野剛はまだまだ動けるしキャラクスティクな役作りは流石だなとか...
軒並み俳優陣も素晴らしいのですが、今作で驚いたのが対亜人ボディーガードの下村泉を演じる川栄李奈の存在感。
小柄で筋肉感のあるルックはめちゃくちゃハマってますし、何よりもアクションのキレが抜群です。


ただね...どうしても納得できないのが2点。
まず一つがラストの攻防戦を含めて、人の命を軽く見せてしまう展開、作戦。
作戦通りだ...つてめちゃくちゃ人死んでるけど?
戦いの出だし以外は、間抜けで死ににいってるしか見えないSATも何だかね。もっと出来るでしょと。

そしてもう一つは、どこに感情をおくべきか分からない作りになっている所。
権力側は冒頭から最低だし、佐藤側も当然だか悪として扱われる。
いやいや間に位置する主人公の永井目線だろうなんて思うが、こここそが最大の問題で彼のキャラクターが映画を通してほとんでみえて来ない。
言ってしまえば、人形のように見える。
エピソードを省いているが故に仕方ないのかもしれませんが...一連のアクションの中で彼のバックグランドを想起させる要素と付随する空白を、もっと上手く描けていれば、、、なんて感じてしまいました。



ただしかし!
極めてフレッシュなアクションと、そこに集中ささたライド性の高いストーリー。
見て損なく、オススメです。






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