シリーズ堂々完結。
そして誰もが知るあの世界へ回帰する...
『猿の惑星:聖戦記(グレートウォー)』
~あらすじ~猿と人類の全面戦争が始まってから2年が経ち、シーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿の群れは、森の奥深くのとりでに姿を隠していた。ある日、奇襲によってシーザーの妻と息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐するため、オランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)らと共に旅立つ。(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし) 『猿の惑星』シリーズ通算9作目にして、あの一作目の前日譚を描くリブートシリーズ3作目の完結編!
『創世記』で猿が進化し、『新世記』で戦争が勃発し、今作『聖戦記』で十数年後が一作目の舞台へ繋がる...つまりは「猿の惑星化」への決定打が描かれます。
(今更、第1作の猿の惑星のネタバレを隠す必要ないですよね...)
そんなシリーズ中で最大級に重要な一作であり、
最も自由度が少ない作品の監督を務めるのが、前作『猿の惑星:新世紀』に引き続き、POVの新たな可能性を示した怪作『クローバーフィールド』のマット・リーヴス。
次作はベンアフレックの『バットマン』の監督を務める、
技法による派手さと道徳的テーマがちゃんと地繋ぎになっている作品を撮る、大作映画の撮り手として信頼できる監督です。
そして主人公のチンパンジー!?シーザー他、あらゆるチンパンジーを演じるのが、おなじみアンディ・サーキス。
益々進化したモーションキャプチャーを用いたCG技術を活かし、全てのチンパンジーをアンディ・サーキスが演じています。
また、敵対する人類役としてウディ・ハラルソンが怪演を見せます。
2011年に公開された一作目の『創世記』から6年。
ルパート・ワイアットが監督をした『創世記』では、知性を持ち始めたチンパンジーのシーザーと育ての親となる人間ロッドマンのドラマを中心に、人類の思い上がりと傲慢さを突きつけてきました。
この一作目でシリーズを通して思い起こされる
「人間の愛と愚かさを知る切なすぎるシーザーの矛盾」が印象付けられ、2作目3作目に非常に大きな深みを与えています。
そして2014年のマット・リーヴス監督による『新世紀』。
個人的にはシリーズ中最も好きな作品です。
恨み、恐怖から来る攻撃的な思考...これらが1度戦争に向けて転がると、いつの間にかもう止められなくなっている...
お互い戦争をしたくなくても、戦争は始まる。ずっと前から戦争に向かって転がっていたんだと、悪の法則を彷彿とさせる戦争の真理を見せられた二作目を観ていない人は是非観ていただきたい!
そして、ついに迎えた最終話となる今作は、ロードムービーであり、ケーパー物脱獄物であり、何より
最もストレートに心動かされるストーリになっています。
「エイプはエイプを殺さない」。
人間を知るシーザーにとって、自滅へ進む人類と異なる存在でいる為に必要な掟。
しかし、前作では人類の負の感情を背負ってしまったチンパンジー コバの存在により、その掟を葬り去ってしまいます。
そんな
自ら引いた人類とエイプの境界を破ってしまったシーザーを、更に決定的な事件が襲います。
膨れ上がる人間的な負の感情。
それは人類やコパのように自らを滅ぼす物、そうと分かりながらも、
感情を否定出来ないシーザーのどこからどう見ても人間的な苦しむ姿に胸が締め付けられます...
そしてそこに追い討ちをかけるのが、非常に微かに映される
一作目の幼きシーザーに埋め込まれた人間愛を思い出させるカット。
このやり切れなさよ...
そんな中で、登場するのがある病に侵された少女や、別の世界で育ったチンパンジーのバッドエイプ。
重くなりがちな作品の中で、彼らの存在が作品の抜けをよくしてくれます。
新たに登場する彼らや、シリーズを通して登場する仲間達の、
知性と絆という極めて人間らしい正の感情が、シーザーの負の感情を辛うじて引き止めていくのです。二作目では「戦争のきっかけ」を概念的に扱っていました。
一方で今作はもろに昨今の排他的な世界情勢を反映させた展開が待っています。
違う考えだから壁を作る?害が及ぶ「かもしれない」から攻撃する。
排他思考に対するカウンターパンチを、同じく人間的な負の感情に悩むシーザーが食らわせることで、「そうだよ!そうなんだよ!!」と声を大にして叫びたくなりました。また、そんな昨今の情勢を反映させた視点に対して、
究極的にマクロな視点でのラストの展開に、
人類の愚かさを神の視点で見せつけられて鳥肌が止まりませんでした。そして最後に触れておかないといけないのが、チンパンジー達の知性を持った動き表現の素晴らしさ。
今作では特に中の人を一切意識する必要がらなく、一点の曇りもなく高度な知性を持ったチンパンジーと見れてしまいます。
擬人化映像技術の進化が、作品毎のチンパンジーの知的レベルや、自らが否定する人間的苦悩を背負い始めるシーザー自身の変化とバッチリ適合し、豊かな三部作に仕上がっていきます。本当にすんばらしいリブート3部作。是非おまとめて観ていただきたい!
オススメです!!
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画
- 2017/10/26(木) 00:16:04|
- 2017年公開映画
-
| トラックバック:23
-
| コメント:0
映画『猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)』は、新シリーズというかリブートという
- 2017/10/26(木) 22:41:57 |
- 大江戸時夫の東京温度
【ネタバレ注意】
『猿の惑星』シリーズのリブート第一作『猿の惑星:創世記』(2011年)に、私はいささかの不満があった。旧シリーズに濃厚だった人種差別や人権問題を重視する姿勢が、リブート版からはあまり感じられなかったのだ(詳しくは「『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』に欠けているもの」を参照されたい)。
代わって『創世記』が強調したのは、自然破壊の問題であり、科学技術に依存す...
- 2017/10/27(金) 00:51:05 |
- 映画のブログ
評価:★★★★☆【4.5点】(11)
人間との全面対決の陰で新ネタ・新キャラ披露で奥行きが増した。
- 2017/10/27(金) 01:20:38 |
- 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~
2017/10/15、109シネマズ木場、1番スクリーン。
良い席はとっくに埋まっており、中央通路前のF列を選択。
**
アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、アミア・ミラー、スティーブ・ザーン
*
本作の前に新シリーズの1作目2作目を復習しておこう。
...
- 2017/10/27(金) 02:05:37 |
- ITニュース、ほか何でもあり。by KGR
そして、猿の惑星へ…
詳細レビューはφ(.. )
https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201710130000/
猿の惑星聖戦記 (竹書房文庫) [ グレッグ・コックス ]
- 2017/10/27(金) 06:01:18 |
- 日々“是”精進! ver.F
Rise(創世記)、Dawn(新世紀)とつづいたリブート版「猿の惑星」完結編はWar(聖戦記)ときた。邦題が聖書っぽいのは、このシリーズの終わり方をFOX日本支社が予測していたからかしら。
肉親の死、復讐、隷従、そして解放という流れ。猿たちが新天地を求めて旅立つのはエクソダスそのものだし(だからリーダーであるシーザーは、モーゼと同じように...
- 2017/10/27(金) 07:25:44 |
- 事務職員へのこの1冊
映画 『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(日本語字幕版)』(公式)を先日、に劇場鑑賞。採点は、★★★☆☆(最高5つ星で3つ)。100点満点なら60点にします。
なお、ピエール・ブールによる同名のSF小説を原作にした『猿の惑星シリーズ』を新しい解釈で描いた新シリーズの前2作は鑑賞済み。
映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)(字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレあります
...
- 2017/10/27(金) 07:26:39 |
- ディレクターの目線blog@FC2
おすすめ度 ☆☆☆★ (劇場鑑賞)
名作SF映画「猿の惑星」をリブートした「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」「猿の惑星:新世紀(ライジング)」に続くシリーズ第3弾。
高度な知能を得た猿と人類が全面戦争に突入してから2年。
猿たちを率いるシーザーは森の奥深くの砦...
- 2017/10/27(金) 08:25:04 |
- ひろの映画見たまま
「猿の惑星」シリーズ最新作。ピエール・ブール原作のオリジナル「猿の惑星」(1968)へとつながる、プリクエル3部作の第3弾。監督は前作と同じマット・リーヴス。前2作と同様、猿のシーザーをアンディ・サーキスが主演し、敵対する人間のリーダーをウディ・ハレルソンが演じています。
猿の惑星:聖戦記 (War for the Planet of the Apes)
前作で人間との共生という道を...
- 2017/10/27(金) 09:43:03 |
- セレンディピティ ダイアリー
アメリカ アクション&アドベンチャー&ドラマ 監督:マット・リーヴス 出
- 2017/10/27(金) 09:57:57 |
- 風情☭の不安多事な冒険 Part.5
『猿の惑星 聖戦記 グレート・ウォー』 を鑑賞しました。
雨の降りしきる寒い中、日劇まで見てきた。
【ストーリー】
猿と人類の全面戦争が始まってから2年が経ち、シーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿の群れは、森の奥深くのとりでに姿を隠していた。ある日、奇襲によってシーザーの妻と息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐するため、オランウー...
- 2017/10/27(金) 10:31:09 |
- 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。 シーザーは猿の群れを率い、森の奥深くに秘密の砦を築き身を潜めていた。 しかし軍隊の奇襲によって妻と年長の息子の命を奪われてしまう。 軍隊を指揮する大佐への憎悪に駆られたシーザーは復讐を決意し、新たな隠れ場所へ向かう仲間たちから離れることに…。 SFスリラー。
- 2017/10/27(金) 14:37:38 |
- 象のロケット
『猿の惑星』の前日譚(たん)を描いた『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の続編となるSF大作。猿と人類が地球の支配者を決する戦いの一方で、自らの種族を守るべく行動する猿のリーダー・シーザーの心の葛藤も映す。シーザーは、前2作に続きアンディ・サーキスが演じる。共演は、ジュディ・グリアとウディ・ハレルソンら。監督は前作と同じくマット・リーヴスが務める。
あらすじ...
- 2017/10/27(金) 18:05:48 |
- パピとママ映画のblog
支配するものとされるもの
* * * * * * * * * *
名作「猿の惑星」をリブートした「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」、
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」に次ぐシリーズ第3弾。
3年に一度のペースで続きが発表されているのですが、
どうも私は...
- 2017/10/27(金) 19:56:43 |
- 映画と本の『たんぽぽ館』
名作「猿の惑星」へと続く前日談の第3弾。
そもそも猿の惑星シリーズが過去と未来との行ったり来たりで混乱しがちなので、そこへ至る経緯を丁寧に綴ったこの前日談3部作は、なかなかに納得させてくれてスッキリしたものだったのだけど…
(ラストに触れています)
- 2017/10/27(金) 20:22:39 |
- ノルウェー暮らし・イン・原宿
ところでチャールトン・ヘストンと自由の女神は?
う~ん、何なんだろか、この消化不良な気持ちは…。
映画はとにかく面白い。あの偉大なる1作目へ通ずる様々な布石も満載な上に、シーザーの苦悩や彼を演じ続けたアンディ・サーキスの素晴らしい演技も堪能出来る。
でも...
- 2017/10/29(日) 01:01:37 |
- こねたみっくす
【解説】
『猿の惑星』の前日譚(たん)を描いた『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の続編となるSF大作。猿と人類が地球の支配者を決する戦いの一方で、自らの種族を守るべく行動する猿のリーダー・シーザーの心の葛藤も映す。シーザ...
- 2017/10/29(日) 20:25:35 |
- タケヤと愉快な仲間達
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
10月13日(金) 109シネマズHAT神戸 シアター7にて 15:55の回を鑑賞。 2D:字幕版。
- 2017/11/01(水) 14:59:20 |
- みはいる・BのB
そして、時の輪が閉じる。
2011年の「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」から始まる、リブート版新三部作完結編。
本作のキャッチコピーは、「そして、猿の惑星になる」という大胆なもの。
要するに、物語の結末は昨今流行のパラレルワールドにはならず、人類は滅び、猿たちが地球の支配者となる旧シリーズ第一作へと繋がると、明確に言い切っちゃってるのだ。
ならば、前作「猿の惑星:新世紀(ライジン...
- 2017/11/01(水) 21:56:56 |
- ノラネコの呑んで観るシネマ
☆・・・派手なアクション要素もある、非常によく出来た、人間vs猿の種族生き残り闘争の物語。
これは、古今東西の歴史で見られる民族紛争と同じテーマでもあるからして共感も得られるのだろう。
虐げられし民族が、権利を手に入れようとする物語である...
- 2017/11/08(水) 00:29:24 |
- 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭