『ゲット・アウト』

~あらすじ~
ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招かれる。歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り……。
(シネマトゥデイ飲用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
2012年から3年間にわたり放送されていたアメリカの大人気コメディ番組「キー・アンド・ピール」。
キーガン=マイケル・キーと共に出演&製作に携わっていたのが、今作の監督を務めるジョーダン・ピールです。
黒人白人のハーフである二人のネタは、人種ネタを絡めるものも多く、今作に通じるものも。
映画では、2016年に全米で公開された(日本未公開)ネコ映画『キアヌ』で、キレキレのコメディセンスを味わう事ができます!
そんな現役バリバリのコメディアンを監督に向かえた仕掛け人は、『パラノーマル・アクティビティ』のジェイソン・ブラム。
こちらは、正真正銘スリラー/ホラー畑の方ですね。
『Chatroom/チャットルーム』や『ボーダーライン』などで脇役の多かったダニエル・カルーヤを主演に迎え、ドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」などのアリソン・ウィリアムズらが脇を固めます。
賞レースに絡む事間違いなしの傑作スリラー。
この映画、「言えない事が多い」のですが、面白い事だけは断言できます!
白人の恋人(ローズ)をもつ黒人男性のクリスは、ある日彼女の家族に挨拶をしに行く事に。
家族への挨拶というただでさえ緊張するシーンに加え、「南部の白人一家」に一人乗り込むというシチュエーション...
アメリカ暗部を本当の意味では理解できない自分でも、考えただけでおっくうになります。
しかし、大好きな恋人に「うちの父親はオバマの支持者よ」なんてせがまれ、しぶしぶ彼女の実家に向かいます。
明るく暖かい両親に大歓迎を受けるクリスですが、見渡すと使用人は全員黒人。白人一家なのに。
確かにクリスや使用人に対する両親の態度は非常に友好的です。
一般的には、偏見のない素晴らしい家族と言えると思います。
しかし彼らの言動から少しずつ「黒人に対して、おもてなす優しく寛大で優れた人間」だと自らを誇るように見えてきます。
極め付けは、クリスを賞賛する言葉はどれも「人間クリス」ではなく「黒人クリス」に向けられているという事。
「肉体」を賞賛したり、わざわざ先人の黒人の話をだしてきたり...
帰宅したローズの兄も、パーティーの為に集まってきた多くの白人も、意思を込めた差別の言葉はありません。
しかし無意識の差別がにじみ出ている。
そんな様子が非常におぞましく、かつどこかコメディにも見えてきます。
不気味さは、このシニカルな要素だけではありません。
パーティーに現れる唯一の黒人の振る舞い、使用人の表情や言動。
兄の異常な高揚や母のカウンセリング...
とにかく何かがおかしいのです。
シニカルなおぞましさと、不可解な言動、田舎の閉鎖空間要素も合わさり、不気味さを煽る演出が最高で、めちゃくちゃ面白いです。
少しずつ、真相のようなものが匂い始めるのですが...
言えない!!これ以上言えない!!
シニカルな怖さだけじゃなくて、物語上でちゃんと意味があるんです!
前半の面白さが、後半でミスリードを経て完璧な伏線回収により物語上の意味を帯びていく。
そしてそれは更に一歩奥、認めているけど基準はは××としてだという、「一見寛容な人物の、無意識下の差別感情」を具現化している...怖い!あぁ怖い!!
そしてタイトルやポスターの意味に気づいた時...
なんて隙のない映画なんだ!!
イライラの対象となりそうな人物が、実は大活躍なのも最高!!
そして、顔の演技も最高!!
いわゆるなホラーではないので、ホラーが苦手な人も全然大丈夫。
というより、是非見て下さい!
オススメです!!!
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