白石和彌監督の最新作
『彼女がその名を知らない鳥たち』

~あらすじ~
15歳年上の佐野陣治(阿部サダヲ)と共に生活している北原十和子(蒼井優)は、下品で地位も金もない佐野をさげすみながらも、彼の稼ぎに依存し自堕落に過ごしていた。ある日、彼女は8年前に別れ、いまだに思いを断ち切れない黒崎に似た妻子持ちの男と出会い、彼との情事に溺れていく。そんな折、北原は刑事から黒崎の失踪を知らされ、佐野がその件に関係しているのではないかと不安を抱き……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
去年は傑作を連発していた日本映画ですが、今年は少し低調かなと思っていましたが...
ここに来て、今年の邦画ベスト更新です!!
「ユリゴコロ」などの沼田まほかるの同名人気小説の実写化、監督を務めるのは『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督。
あらゆる角度のダメな人間を撮らせたら右に出る者はいない、間違いなく信頼できる監督です。
永遠の少年イメージな阿部サダヲ、透き通った演技派女優の蒼井優、独特の黒さを出し始めた松坂桃李、どこか軽さを感じさせる竹野内豊。
こんな面々が、白石監督の元でダメ男、クズ男を演じるのだから楽しみで仕方がありません!
共感度0パーセント!?
そんな売りをしているこの映画、確かに誰一人として感情を移入出来る人は出てきません。
阿部サダヲ演じる陣治は、とにかくガサツで下品、貧相、汚い。
おっさんの嫌な所を凝縮した彼の気持ち悪さは、映画史に残るレベルです。(最高に褒めてますよ)
蒼井優演じる十和子は、自尊心だけが高いフリーター。
自分本意で他人に共感が出来ない彼女が、一体なぜ陣治と付き合っているのか...
この二人の関係性が、終始映画に奥行きを確保すると共に、物語としても大切な要素となっていきます。
そして、十和子に迫る...いや十和子が迫る?二人の男性もたいがいヒドイのです。
竹野内豊演じる黒崎は、8年前に都合の良い言葉で十和子と交際し、最低最悪な行為で彼女と関係を終わらせていました。
しかし、十和子は今だにその都合の良い言葉を忘れられない訳で...
極め付けは松坂桃李演じるデパートの店員水島。
妻子がいながら十和子の弱さに同調し、第二の黒崎へとなっていきます。
彼らの出会いから肉体関係となるまでの過程は、弱さ脆さの真骨頂で、第三者としてみてる分には最高です。
「あーー」って何だよ!笑
こんな最低(最高)にダメでクズな人間達ですが、真っ直ぐは笑えない、苦さがずーっとい続けます。
ただ共感できるような人物設計になってないだけで、この居心地の悪さは、自分にも否定できない所が彼らそれぞれから少しずつ感じるから。
最高にダメでクズな彼らから、少しだけ感じる苦さ、このバランスが最高なんです!
そんなダメ&クズな行動が次第にサスペンスを作りはじめます。
そしてその顛末が更にダメ&クズを明らかにしていくのです...
しかしラストに残る印象は、中盤のそれとは全く違うもの。
号泣に次ぐ号泣。
みなさん、愛すべきはダメ人間なんですよ!!
2017年最も泣いた映画であり、邦画ベストです!
オススメです!
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