シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

65『レッド・スパロー』パーソナルなスパイ映画

フランシス・ローレンス×ジェニファー・ローレンス最新作!

『レッド・スパロー』



~あらすじ~
事故によってバレリーナの道を諦めたドミニカ(ジェニファー・ローレンス)。母親をめぐるやむを得ない事情から、彼女はロシア政府直属の諜報(ちょうほう)機関の一員になる。美貌を生かした誘惑や心理操作で情報を入手する「スパロー」と呼ばれるスパイとして育成された彼女は、瞬く間に才能を発揮する。そして新たなミッションとして、ロシアの機密事項を探るCIA捜査官ナッシュ(ジョエル・エドガートン)への接近を命じられるが……。
(シネマトゥデイ引用)







☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
2013年のジェイソン・マシューズの同名小説の実写映画化は、『ハンガー・ゲーム』シリーズや『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス監督の最新作!
緻密な構成というよりは、映像センスで観客を引っ張っていけるタイプの監督という印象です。
そんな監督の下で主人公の女スパイを演じるのが、『世界でひとつのプレイブック』や『X-MEN』シリーズのオスカー女優ジェニファー・ローレンス。
そしてもちろん、彼女を一躍スターにのし上げたのは『ハンガー・ゲーム』。
つまりは、『ハンガー・ゲーム』でタッグを組んだ二人のローレンス、フランシス・ローレンス監督とジェニファー・ローレンスの再タッグとなるのが本作です!


今作の主人公は、ロシアの人気バレリーナでありながら、受動的な運命で過酷な道に進んでいく女スパイ。
女性スパイ映画といえば、昨年公開されたシャーリーズ・セロン主演の『アトミック・ブロンド』が大きな反響を呼びましたが、あちらがあくまでベースはプロフェッショナルなスパイ戦であったのに対し、今作はよりパーソナルな動機のスパイ映画になっています。
自らの意思に反して、スパイ養成所に入らざる得なくなるドミニカ。
自らの意思に反して、養成所で才能を発揮するドミニカ。
自らの意思に反して、過酷な状況に追い込まれるドミニカ。
この「自らの意思に反して」というのがこの映画の大きなポイントで、「彼女の意思」の行方がミステリーであり、かつ物語の大きなうねりになります。

また今作のドミニカの背後にある国家の設定が実に絶妙なんです。
養成所の教育から、スパイや一般人に対する扱い方まで、
非人道的だけども、強い国家を保つ手段として、特にロシアだったら...と想像するとリアルに感じる、そんなバランスで成り立っています。
特に、ドミニカが入隊するスパイを育てる養成所の「相手をコントロールする」指導、性の武器にしたスパイを作り上げる指導内容が、目を疑いたくなるほど強烈で衝撃的、それでいて前述の通り生々しく展開していきます。
パーソナルな動機と、生々しく強烈な諜報員のあり方の対比が、この映画のおもしろさになっていきます。

そんな女スパイを演じるのがジェニファー・ローレンス。
彼女の体を張った妖艶な演技&過激なアクションと、ありふれた普通の女性としての演技。
この両立ができるジェニファー・ローレンスだからこそ、今作は成り立っていると感じる程、素晴らしすぎます。
彼女の体型もバレリーナとしては?だけど、スパイとしては◎。

と、いう感じで見どころはしっかりあるんですが...

中盤以降、映画として終始抑揚がなく、スパイ映画として盛り上がりに欠けます。
そして何より一番の欠点がドミニカの行動そのもの。
中盤の伏線のばらまきで前述した「意思」が分散し、ラストのネタバラシによってその彼女の意思や行動が振り返ると決定的に理解できないものになってしまってます。
最初から狙い通りだとしても途中もし上手くいかなかったら...とか、ネタバラシによって余りにも納得できない事が多く出てきてしまいます。

そんなこんなで不満はありながらも、ジェニファー・ローレンスの妖艶な演技に魅了された145分。
特に彼女が少しでも好きなあなたは、劇場で見る価値が大いにありますよ!







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  1. 2018/04/15(日) 23:59:36|
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