『ゲティ家の身代金』

~あらすじ~
1973年、大富豪ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)は孫のポール(チャーリー・プラマー)を誘拐され1,700万ドルという高額の身代金を要求されるが、守銭奴でもあったゲティは支払いを拒否する。離婚して一族から離れていたポールの母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は、息子のために誘拐犯、ゲティの双方と闘う。一方、犯人は身代金が支払われる気配がないことに苛立ち……。
(シネマトゥデイ引用)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(80/100)
リドリー・スコット最新作なのに、完全にナ~メテ~タ~案件でした!!
『ブレードランナー』、『エイリアン』『プロメテウス』『オデッセイ』など、数々の名作を世に送り出したリドリー・スコット監督による、実録サスペンス。
主演で息子が誘拐された母ゲイルを演じるのは、ミシェル・ウィリアムズ。
貫禄のある女優になってきましたね~
彼を支える弁護士ポールをマーク・ウォールバーグが、大富豪ジャンポールゲティをクリストファー・プラマーが、誘拐される青年ポールをチャーリー・プラマーが演じます!
世界一の大富豪の孫が誘拐された。
1973年に実際にあった(以外と最近!?)事件の映画化。
物語の中心は、犯人探しのサスペンスと思いきや、本作の魅力はそこではありません。
「この家族は普通じゃない」
そんな言葉の真意を中心とした人間ドラマにこそ、映画の旨味が詰まっています。
重要人物ジャン・ポール・ゲティといえば、石油産業でのし上がった超が付く大富豪。
中東での大規模な取り引きに成功し、ゲイル・オイルを世界的企業に伸し上げた、やり手実業家です。
そんな彼の16歳の孫が誘拐される。
大富豪なんだし、当然払うだろ...
なんて事はなく、彼は孫の価値を見定め、まさかの値切りを始めます。
「孫にその価値はあるか」
「払えば、また次があると思われる」
彼がなぜ金持ちになったのか。
彼の打算的な一面が、色濃くじわじわお見え始めます。
一方の誘拐犯は、世界一の億万長者の孫を誘拐するなんて、どれ程ぶっ飛んだ人間なのか...
なんて事もなく、犯行グループの中で特にポールに近い男は、ポールの身を案じた交渉を始めます。
超打算的なゲティに対して、逆に犯人には人間味を感じるという、不思議な逆転現象が次第に明らかになってくる訳です。
そしてそんな彼らに対して、奔走するのが母ゲイル。
義理の父ゲティにお金を出すように。
誘拐犯には金額を下げ期限を延長するように。
庶民出身の彼女は、あくまで普通の母親として、息子を助ける為に、孤軍奮闘を繰り広げます。
身代金を払わない祖父、寧ろ人間味のある誘拐犯、そんな彼らの間を奔走する母。
善悪で区切れない三者三様の人間が複雑に絡み合う、恐ろしく見ごたえのある人間ドラマが展開されていきます。
そして勿論、
この三者をテンポよく転がし、人物造形を掘り下げながら、展開していくサスペンスの盛り上げ方も一級品。
人物造形とサスペンスが同じベクトルで進んで行くのだから、面白くない訳がない。
また今作で特に印象に残るのが、クリストファー・プラマー演じるジャン・ポール・ゲティ。
なんと、このゲティ役は当初ケビン・スペイシーが配役され、撮影まで終わっていた中で、あの問題が発覚し、バトンタッチ。
急遽、たった9日の撮り直しで、間に合わせたみたいですが...
撮り直しとは思えない、クリストファー・プラマーだからこそ成り立ってると思わせる程、奇跡的な仕上がりになっているのだから、信じられません。
実際に、この後一家の子孫が辿る道も、会社の売却や美術遺産関係など、紆余曲折あり、たしかに「この家族は普通じゃない」。
こんな所も、味わい深い。
非常に見応えのある、秀作実録サスペンス。
やはり、リドリー・スコット半端ねぇ!
オススメです!!
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