『SUNNY 強い気持ち・強い愛』

~あらすじ~
夫と高校生の娘と暮らす40歳の専業主婦、阿部奈美(篠原涼子)は、日々の生活に空しさを感じていた。一方、独身で39歳の社長・伊藤芹香は、ガンで余命1か月を宣告されてしまう。およそ22年ぶりに再会した芹香にもう一度みんなに会いたいと告げられた奈美は、ある事件が原因で音信不通になった仲良しグループ“SUNNY(サニー)”のメンバーを捜そうとする。
(シネマトゥデイ引用)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️★(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
2011年のカン・ヒョンチョル監督による傑作韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のリメイク。
韓国映画best3に入るくらい大好きな映画で、今回日本版の監督を務めるのは安心・楽しいでおなじみ?の大根仁監督。
『モテキ』や『バクマン。』など、言わずと知れた日本のエンターテイメント映画の申し子です。
この監督の映画は私的に「めちゃくちゃ面白い」か「まあ面白い」かどちらかで、キャリアも作風も、奇をてらわずに日本のエンターテイメント映画のど真ん中を走ってるのに、フレッシュで面白いのが本当尊敬しています。
面白い原作と安心の監督、そんな大きな受け皿に乗るのは、豪華で旬、且つ原作に寄り添った配役の役者陣です。
主人公奈美の今を篠原涼子が学生時代を広瀬すずが演じる、この間違いなさ。
他にも現代パートには、板谷由夏、ともさかりえ、小池栄子、渡辺直美が。
学生パートには、池田エレイザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生が。
そして、三浦春馬やリリーフランキーなどが今作をカラフルに染めていきます。
そして更に注目すべきは、今作の音楽は長年J-POPを牽引して来た、小室哲哉が担当するという所でしょうか。
今作の主人公の奈美は、2018年の現代に何処にでもいる一人の女性です。
高校生の娘は冷たく、旦那は出張の繰り返し。
そこにあるのは全く味気のない現実であり、この手触りはどこか生々しい。
そんな中で、高校卒業以来「ある理由」で会わなくてなった仲良しグループの親友と偶然再開します。
しかし、彼女は余命一ヶ月でした...
そんな彼女に、高校時代の仲良しメンバーにまた会いたいとお願いされた事で、物語が動き始めます。
原作も今作も共通して、重なくなりがちな親友の死という題材を、決して重たく描き過ぎません。
このなぜ重たくないのか...の肝となるのが、過去パートである高校時代、輝かしい青春時代を見事に織り交ぜて描いている所にあります。
90年代のパワーに満ちた時代。
6人グループのSUNNY 。
お茶目でパワフルで輝き夢見ている彼女達の姿を、過去パートではコミカルに描かれます。
そして、そこに乗っかる当時のJ-POP最盛期の音楽がどれもこれも最高。
青春という、ある意味で現実から浮遊した期間を、時にはミュージカル的演出も含めた日本の90年代だからこその現実から少し浮遊した手法・演出で魅せてくれます。
ノスタルジーと多幸感が、画面一杯に広がって本当最高でした。
そしてもちろん、そんな過去パートを只のノスタルジーで楽しませる事に終始する訳ではありません!
そこに交差してくる現代パートの地に足をつけた現実感。
メンバーそれぞれに絶句するレベルの現実があります。
そんな過去パートの多幸感と、現代パートの苦さ、このアンサンブルが今作に関しても本当素晴らしく、みるみる惹きつけられていきます。
そして、真骨頂は更に映画後半にあります!
ある真相がわかると共に、エンディングに向かって行くのですが...
多幸感に満ちた過去パートが現代に向けた序章となり、苦々しい現代パートが過去を取り戻し始める。
ビデオを使った最高の名シーンをキッカケに、トーンが正反対であったそれぞれのパートが地つなぎとなる事で、「夢見てるけど実際は...」「でもまだ遅くないんだよ!」と立て続けに真逆の感情が涙腺を刺激し続けます。
このように、今作は原作の面白さ、要点はきっちり抑えつつも、日本故の90年代エッセンスを見事に活かして、原作以上に我々日本人が乗りやすい映画になっています。
また過去パートの時代が、原作の韓国verが80年代に対して、今作は90年代を描いているんですが、これと面白い効果を生んでいます。
元の韓国映画が80年代で、外国文化がぐいぐい入ってきて変化が生まれた事で、労働紛争などが起こったある意味暴力的な時代。
その為、音楽には当時の洋楽が効果的に使われています。
対して、今作は90年代でバブル後の日本。
社会としては元気ぐなくなる中で、学生が発信する文化が急速に広がり、ガラパゴス文化が出来上がってきた内向きな時代。
全く異なる時代背景でありながらも、どちらも違った意味で勢いと危うさの両面があり、それぞれの映画はその両面をしっかり内包するように作られています。
もちろん、音楽のチョイスや音楽を活かす演出も最高です。
韓国verから持ち込んだシーンが多いながらも、日本人の心に響かせるようにチューニングされており、小室チョイスの音楽が多幸感を生み出すのに絶大に機能しています。
ヘッドフォンを使った演出に、良い年の男が、きゅんきゅんしてしまいました。
配役も全員が本当素晴らしく、特に印象的なのはリーダーの芹香を演じる山本舞香。
彼女の魅力は、原作よりも数段素晴らしいです。
なにより、作中の彼女は最後までリーダーだった...ってのに、凄い感動しますよね...
説明台詞が増えてるとか、時代錯誤感が気になるとか、言いたい事はない訳ではないのですが...
最高でしたよ!!!
おススメです!!!
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