『クレイジー・リッチ!』

~あらすじ~
ニューヨーカーのレイチェル(コンスタンス・ウー)は、親友の結婚式に出るためにシンガポールに行くという恋人ニック(ヘンリー・ゴールディング)に同行する。ニックの家族と対面することも決まったレイチェルは、彼がシンガポールの富豪一族の御曹司だと知って驚く。レイチェルはニックの母親のエレナ(ミシェル・ヨー)と会うが、彼女は自分たちの交際を良く思っていなかった。(シネマトゥデイ引用)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️⭐️(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
○まずは作品について
アメリカ在住のシンガポール人、ケビン・クワンの小説を原作を、シンガポール系のアメリカ人であるジョン・チュウ監督が映画化。
主演は今作を経て世界的注目を集めている、コンスタント・ウーとヘンリー・ゴールディング。
なんといっても本作のアイデンティティは、超大手ワーナー・ブラザースが製作した歴然としたハリウッド映画なんですが、実態はキャストからスタッフまで(ほぼ)オールアジアン体制で作られたアジア映画だという点です!
近年、ハリウッドで原作ではアジア人の役を白人が演じる事を弾劾する「ホワイトウォッシング」が話題になっています。
(個人的には、映画によっては舞台背景を変える事によると必然の人種変更の範囲であれば、全然問題ではなくて、そういう部分も含めて非難されてるのは、ちょっとやり過ぎでは...と思います。)
本作は完全にそういった背景があっての映画で、それが映画の内容自体にどう落とし込まれているのか、興味深い所です。
またそうでなくてもハリウッドマネーで、完全ローカライズの映画が見られるのは素直に嬉しい。
そして、そんなローカライズな映画が、レディ・プレイヤー1やオーシャンズ8を凌いでの全米年間10位に入る程の大ヒットになっているのも、一映画ファンとして非常に嬉しいです。
○ここから感想(ネタバレなし)
冒頭から感じるのが、 80年代アメリカ映画の影響を受けたバリバリの中華圏のラブコメドラマだなと。
正直その手のジャンルに詳しいわけではありませんが、非常に小気味の良いテンションで日常を切り取っていきます。
そんな中で、今作がそれらからずば抜けて凄いのは人物造形の緻密さでしょうか。
登場人物の大半は、「裕福なアジア人」です。
しかし、欧米人が持つ裕福なアジア人のステレオタイプなイメージではなく、それぞれに裕福度も違えば、影響力も、勿論持っている悩みも違う。
そんな多様な裕福なアジア人が、独自の文化の中で一悶着をする...
我々日本人が見ても、今時アジア人の魅惑的なライフスタイルが、新鮮で興味深いのだから、欧米人が観るとより一層なのは間違いうりません。
そんな人物の置き方だけでなく、各キャラクターへのさり気ない気配りが抜群なのは、ハリウッドの映画作りの血が入っているから?
新鮮で魅惑的なライフスタイルと文化、そして水も甘いもが散りばめられる様々な人物造形、大変美味しく頂きました!
そしてもう一つ、この映画が普遍的に受け入れられるのは、物語の構成に起因します。
大半のアジア映画がアジアにおけるアジア人を扱っているのに対し、本作の主人公はアメリカ在住のアジア人です。
いわゆる、「アジア系アメリカ人」と呼ばれる人達。
特にアジア系を中心に多人種化しているアメリカの今を象徴している訳ですが、本作はそれそのものを主題にはしません。
これら現代要素で在り方は変われど決して変化しない本質...「家族と自分との折り合い」という超普遍的な内容を扱っています。
人種問題を押し出しすぎると、映画自体の背景と重なるだけに崩壊する可能性があるものの、しっかり懐深い要素として収まってる。
完成度高けぇなと感心しました。
アジアの今を閉じ込めながら普遍的な内容を描く...
是非、今!劇場でみてください!
おススメです!!
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