シネマ・ジャンプストリート

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85『ボヘミアン・ラプソディ』積極的脚色でパワーを最大化

QUEENのボーカル フレディ・マーキュリーの伝記映画?

最高の劇映画で、音楽映画!!

『ボヘミアン・ラプソディ』



~あらすじ~
1970年のロンドン。ルックスや複雑な出自に劣等感を抱くフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが脱退したというブライアン・メイ(グウィリム・リー)とロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)のバンドに自分を売り込む。類いまれな歌声に心を奪われた二人は彼をバンドに迎え、さらにジョン・ディーコン(ジョー・マッゼロ)も加わってクイーンとして活動する。やがて「キラー・クイーン」のヒットによってスターダムにのし上がるが、フレディはスキャンダル報道やメンバーとの衝突に苦しむ。
(シネマトゥデイ引用)





⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️⭐️★(85/100)

以下 レビュー(核心のネタバレなし)

○まずは作品について

70~80年代にかけて、全世界で一時代を築いたQueenのメインボーカル フレディ・マーキュリーの伝記映画。

「伝説のチャンピオン」や「We Will Rock You」など、誰もが耳にした事があるイギリスを代表するアーティストであるQueen。
私は世代ではないのですが、そんな私でもいつのまにか脳内に刻み込まれている...世代を超えて伝わっていく数々の名曲を残しています。

本作は、Queenのまぎれもない中心であったフレディ・マーキュリーの物語。

あらゆるジャンルからインスピレーションを得て、ジャンル分けが困難な音楽を産み出す天才的な音楽センスを持つと同時に、脳天に突き刺さる神の声を持ち、それでいて稀代のパフォーマーでもある...
同性愛者である事でも知られる彼は、当時拡大の一途をたどっていたHIVで45歳の若さで命を落とす訳ですが、本作はそんな彼が決して恵まれない環境から成り上がり、自らのアイデンティティと向き合い、85年のチャリティライブ ライブエイドで伝説を残すまでを描きます。

そんな映画の監督を務めるのは、『X-MEN』シリーズや、『ユージャル・サスペクツ』のブライアン・シンガー。
と、思いきや...
実は撮影の大半が終わったタイミングで揉めて降板しており、それ以降は『イーグル・ジャンプ』のデクスター・フレッチャーに交代。
そんのゴタゴタに、作品が散らかってないだろうか...と一抹の不安。

注目のフレディ・マーキュリーを演じるのが『ショート・ターム』などに出演するラミ・マレック。
映画での主演歴はなく、大抜擢ですね。
またQueenの他のメンバー、ロジャー役をベン・ハーディ、ブライアン役をグウィリム・リー、ジョン・ディーコン役をジョゼフ・マゼロが演じ、フレディの元妻役を『シング・ストリート』のルーシー・ボイントンが演じます。




○ここから感想(ネタバレなし)

フレディ・マーキュリーの生涯を描くという事で、さあ一体全体どうするんだと。

45年を描く為に、45年の時間を見せる訳にいかない訳で、伝記映画である以上、取捨選択し再構築しながら、人物の本質や決定的な史実は外さない編集が必要になってきます。

本質を浮かび上がらせる為の、史実の誇張や改変は、全くの嘘がない限りはやむ終えない、寧ろ必要と思っています。

一方で、素晴らしい伝記映画というのは、史実をしっかり描きながらも、「演出」という武器で本質を浮かび上がらせてる映画なんでしょう。

じゃあこの映画は、どうなのかと言うと...

フレディ・マーキュリーの本質を描ききれてるかと聞かれると、「描ききれてはいない」と答えます。
本作ではフレディ・マーキュリーという人物を「アイデンティティと愛に悩む人物」に極端に単純化しています。
そういう一面が本質の一つであったのは間違いが、それだけがフレディ・マーキュリーの本質ではないでしょう。

また、史実に全く違う印象を与えてないかと聞かれると「与えている」と答えます。
フレディ・マーキュリーの人物像を活かして物語を劇的にする為に、Queen内の問題の一本化したり、史実の順番を大きく入れ替えています。

つまり「史実を映しながら本質を浮かび上がらせる伝記映画」というよりも「強調したい要素だけを予め抜き取って、その為に物語を積極的にいじってドラマチックにした劇映画」により重みが置かれている。


だからといって、ダメなのかと言われると、全くもってそんな事はありません。
というより...
めちゃくちゃ面白い!!

劇映画として見ると、フレディの人物造形の単純化や史実の改変は、クライマックスに向けた全く無駄のないストレートなストーリーデリングに寄与しています。

そして、そこに重なるのは、散りばめられた圧倒的なQueenの音楽。

やっぱり、「音楽が出来上がっていく過程の映像」は最高最高。

極め付けは、言わずもがなラストのライブエイドのパフォーマンス。

圧倒的なライブクオリティと、史実とは違えどその一点に向けて加速された物語が重なり、もう涙が止まらない訳ですよ。

正直、映画単体で見てると、面白さと人物や物語の改変が一直線上にあって、この映画のこの手法は大成功と思っています。



また、主演ラミ・マレックの、フレディの魂が乗り移った熱演にも圧倒されました。
フレディ・マーキュリーが持っていたパフォーマーとしての魅力が再現できているのは、彼の功績無くして語れません。

他のメンバーも似すぎ...



伝記映画としてうたってる以上、その役割を考えると???だけど,.
そんなものを凌駕して劇映画としてパワーに満ち満ちた驚愕の作品になってます。

おススメです!!





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  1. 2018/12/02(日) 17:38:22|
  2. 2018年公開映画
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