本題の物語がついに本格化...
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

~あらすじ~
ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、学者として魔法動物を守るため、不思議な空間が広がるトランクを手に世界中を旅している。ある日、捕まっていた“黒い魔法使い”グリンデルバルド(ジョニー・デップ)が逃亡する。ニュートは、人間界を転覆させようと画策するグリンデルバルドを追い、魔法動物たちと一緒にパリの魔法界へ向かう。
(シネマトゥデイ引用)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️⭐️★(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
○まずは作品について
空前のヒットを記録した、J.K.ローリングによる児童ファンタジー小説であり、その映画化作品群のハリーポッターシリーズ。
著者のJ.K.ローリングが自ら脚本を執筆し、その世界観の前日譚として2年前に公開されたのが、デヴィッド・イエーツ監督による『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。
ハリーポッターシリーズの後半で色濃くなったシリアス一辺倒のシリーズ像を、「魔法動物」を前面に押し出し、ニュート・スキャマンダーという社会性は低いが身の丈の優しさを持つ動物学者を主人公にすることで、一気に夢のあるファンタジーの世界観に回帰。
脚本上の難点はあれど、一作目はフレッシュなビジュアルと、キャラクターや世界観の楽しさに満ちた作品になっていました。
続編となる今作も、『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』以降の全作品同様に、デヴィッド・イエーツ監督がメガホンを取ります。
また、キャストもニュードを演じるオスカー俳優のエディ・レッドメインをはじめ、キャサリン・ウォーターストンやアリソン・スドル、ダン・フォグラー、エズラ・ミラーが出演。
更に、本格的に行動を始めるグリンデルバルドをジョニーデップが、あのダンブルドアの若かりし頃をジュード・ロウが演じます!!
○ここから感想(ネタバレなし)
驚愕の全5部作構想の2作目。
「ハリポタ」シリーズの前日譚的なシリーズという事で、作品を重ねるごとに「ハリポタ」一作目の賢者の石の時系列に近づいていく中で、前作ではチラ見せであった、前日譚ならではの旨味、ハリポタに繋がる文脈が多く楽しませてくれます。
特に本作で注目すべきは、やはりあのダンブルドアが登場するという点です。
これまでハリポタシリーズの中で、若かりしダンブルドアの過ちが幾度か語られてきました。
中でも特に重要なのが、グリンデルワルドとの交友関係とそれによる妹の喪失です。
本作はその「過ち」とハリポタ一作目の間に位置する時間軸という事で、その「過ち」が直接の物語になるのではなく、最重要な背景としてのみ利用されます。
若かりしダンブルドアとグリンデルワルド。
決して同一カットで交わらないカットを超えた繋がりから、彼ら二人の一挙手一投足に対してワクワクさせ、物語に深みを与えてくれるんです。
また、前作では暗躍であったグリンデルバルドの活動の本格化に伴い、本作は一気にトーンが深刻化しています。
不死鳥の騎士団以降に感じていた、デヴィッド・イェーツ監督の色がより濃くなっているな~と感じます。
そんな中でもファンタビ的魅力、つまりは魔法動物によるフレッシュな映像はしっかり描かれています。
前作同様にニフラーは可愛いし、初登場となる巨大化け猫!?ズーウーのアクションはめちゃくちゃ上がりました。
また、ファンタビシリーズとして今作を経て非常に印象的になってきたのが、超保守的で排他的な魔法省vs締め出された側のナチズム グリンデルバルトの構図です。
そんな中でのニュートの立ち位置だけが独特で、彼は悪い意味では空気を読まない、良い意味で偏見を持ちません。
善悪なき戦いの中にニュート(ニュートラルな存在)がいる事で、戦いの構図が面白いのは勿論、「偏見に満ちた善悪が曖昧な中で如何に正義を見つけるか」という、途轍もなく現代的なテーマに落とし込まれています。
一方で、本作を一本の映画と見たときに、私個人としては非常に消化不良に感じてしまいました。
今作は登場人物を複雑にし、相関図を広げた上で整理するって所にストーリーが終始しています。
キャラクターを増やし相関図の掘り下げに焦点を当てる事は、よく言えば世界観を広げていきます。
しかし悪くて言えば一人一人キャラクターの魅力や肝心な物語をボヤけさせる結果になっています。
一作目で際立っていたニュートの唯一無二な魅力、リタ・ストレンジの葛藤と強さなど、キャラクターの魅力も埋もれています。
クイニーの取った行動も、背景の描かれ方が余りに薄く、全くもって行動原理に理解が出来ません。
また、単体では魅力的なファンタビ的見せ場もクライマックス戦も、ストーリーに直接関係ない見せ場の為の見せ場にしか機能していないのは残念です。
編集の雑さも見逃せず、あまりに不自然なシーンの遷移が2度ほどありました。
そこ飛ばして話を進められるなら、もはや何でもありじゃね??
ちょっと言いすぎたかな...
次作観て、今作の価値を納得して土下座している事を期待してます!!
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