『ミスター・ガラス』

~あらすじ~
ある施設で、特殊能力を有する3人を対象にした研究が始まる。そこには、悪を察知する力と不死身の体を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)、24種類の人格が同居する多重人格者のケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)、ハイレベルなIQと94回も骨折した繊細な肉体を持つミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)が集まっていた。
(シネマトゥデイ引用)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️☆(75/100)
『シックス・センス』などのM・ナイト・シャマラン監督の最新作!!
しかも只の一本ではなく、代表作の一つでブルース・ウィルス主演映画『アンブレイカブル』(2000年)の続編にして、ジェームズ・マカヴォイ主演映画『スプリット』(2017年)の続編!
『アンブレイカブル』でヒーロー誕生譚を、『スプリット』でヴィラン誕生譚を描いたシャマラン監督が、シャマランユニバースと言われる世界観の共有によって実現した夢の作品です。
これら両作品に登場したブルース・ウィルスとジェームズのマカヴォイが出演するのは勿論、『アンブレイカブル』同様にサミュエル・L・ジャクソンがミスター・ガラスとして登場します。
○ここから感想(ネタバレなし)
『アンブレイカブル』で、悪を察知する力と不死身の体に気が付き、空虚な心をヒーロー活動で埋める事に目覚めたデヴィッド。
『スプリット』で、幼少期のトラウマを埋める為に23の多重人格を形成し、絶対悪と驚異の肉体を持つ24個目の人格をも生み出したケヴィン。
更に、自身の驚異的な身体の弱さから、その対象となるヒーローとヴィランの存在を盲信するミスター・ガラス。
その三者が交差し、ヒーローとヴィランが対峙する...
シャマラン映画である以上、そんな安直な映画には当然なっていません!
早々に三者共に収監されたのは、精神科医エリー・ステイプルのいる精神病院。
彼女は「自分には特別な力がある」と信じている患者を専門に治療しています。
ヒーローの存在、ヴィランの存在、スーパーパワーの存在。
否定する精神科医と、主張する三者。
ヒーローであるデヴィッドにとっては、心の穴を埋めてきた自身の力を肯定する物であり、
ヴィランであるケヴィンにとって、自身のバランスを保つ24番目の人格を肯定する物。
そしてそれは、自分の存在理由を見出す為のミスター・ガラスの主張そのものです。
つまりこの映画は、ミスター・ガラスの生涯をかけた主張の戦いと、その結末を描いた映画になっています。
本作では確かに、見かけ上はヒーローとヴィランが闘いになっています。
しかし、実態はヒーローとヴィランが共に特別な力の存在有無に対して闘いを挑む所にストーリーが存在します。
この普遍的な論点の設定ではなく、キャラクター目線での論点の設定にこそ、超歪なシャマランワールドであり、本作も魅力にもなっています。
この歪さが上手くハマってる作品もあれば、そうでない作品も多いのがシャマラン作品。
『アンブレイカブル』も『スプリット』も非常にハマっており、大好きな作品でした。
しかし、本作はストーリーデリングのバランス上、ノイズが目立ってしまっています。
最も顕著なのが、前半パート。
「既に能力を見ている」我々としては、精神科医の主張が稚拙で、説得力が無く感じてしまうのですが、その時間が余りに長くしつこい事。
これは、結末の「ある展開」とそれにのり前述の論点を強調する事に役立つのですが、前半パートでは苛立ちしかありませんでした。
また、ヴィランであること=存在理由ではない、絶対悪ケヴィンを、今作の論点に乗せるのはあまりに弱く、違和感を感じてしまったのは私だけでしょうか...
なんて、不満はあれど、
十二分にシャマランワールドを楽しませてもらった作品でした!!
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