
~あらすじ~
幼い娘を亡くした空軍のテストパイロット、ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、NASAの宇宙飛行士に応募し、選抜される。彼は家族と一緒にヒューストンに移り住み、有人宇宙センターで訓練を受ける。指揮官のディーク・スレイトン(カイル・チャンドラー)は、当時の宇宙計画において圧倒的優位にあったソ連も成し得ていない月への着陸を目指すと宣言する。
(シネマトゥデイ)
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎☆
(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
○まずは作品について
『セッション』『ラ・ラ・ランド』 と、34歳にして超一流監督の仲間入りを果たしている天才映画監督、デイミアン・チャゼル監督の最新作。
学生時代からジャズなどの音楽に精通しており、音楽を題材にしたボクシング映画の『セッション』や、古き良きミュージカルの現代アップデート『ラ・ラ・ランド』など、前面に音楽を押し出した映画で、作家性を発揮してきました。
対して、本作はチャゼル監督始めての伝記映画。
初めて月に上陸した男、ニール・アームストロングの半生を描きます。
フィルモグラフィからは「ジャンルのミスマッチ」のように感じるのですが、果たして...
また、そのニール・アームストロングを、『ラ・ラ・ランド』てコンビを組んだライアン・ゴズリングが演じるのにも注目です!
○ここから感想(ネタバレなし)
人類で初めて月へ行き、上陸し、帰還したアームストロング船長。
「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」
彼の月での第一声は余りに有名です。
そんな彼が地上で何を経験し、船内で何を観て聞いて、月はどう見えたか...
良くある伝記映画とは一線を画すのが、この映画に映される全てが、アームストロング船長の主観に徹底して寄り沿い、観客もろとも彼の半生と月へ行くまでを追体験させるのです。
カメラワークは寄りのショットを多用し、観客が状況を完全に把握させる事を阻害します。
音使いへのこだわり、中でも宇宙船内の軋む金属音が非常に効果的で、主観体験を底上げ。
途方も無い宇宙空間なのに、印象としては圧迫感を強調する演出は新鮮であると同時に、心的描写としてこれこそリアルだと突き刺さりました。
(そして、それが解放される「あるシーン」。ここの演出は神!)
また、物語部分も同様で、徹底して主観に拘っています。
他者への説明の為の整理されたプロットではなく、自身に記憶されるシーンを切り取って映像にしています。
その為、ある意味では「時間の流れが不自然に感じる」のですが、そんな伝記映画としては不親切な語り口からも、この映画のテーマを感じ取りました。
これら徹底した一人称で語るアプローチは、「ラ・ラ・ランド」「セッション」の主観過多なチャゼル監督の作家性をよりテーマに直結させた物です。
伝記映画?
チャゼル監督の過去作と違うタイプの映画と思いきや、全然そんな事ない!
最高にデイミアン・チャゼルな映画でした!
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