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☆6.5『DUNE/デューン 砂の惑星』

『DUNE/デューン 砂の惑星』


~あらすじ~
人類が地球以外の惑星に移り住み宇宙帝国を築いた未来。皇帝の命により、抗老化作用のある秘薬「メランジ」が生産される砂の惑星デューンを統治することになったレト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は、妻ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、息子ポール(ティモシー・シャラメ)と共にデューンに乗り込む。しかし、メランジの採掘権を持つ宿敵ハルコンネン家と皇帝がたくらむ陰謀により、アトレイデス公爵は殺害されてしまう。逃げ延びたポールは原住民フレメンの中に身を隠し、やがて帝国に対して革命を決意する。(シネマトゥデイ引用)




7/10★★★★★☆☆

以下 レビュー(ネタバレなしです!!)

【作品背景】

やってきました『DUNE』。

原作は1965年に発表されたフランク・ハーバートによるSF小説で、壮大な物語と世界観から一世風靡したシリーズです。

この小説の映画化が、なぜ話題になるのかというとその背景にあります。

当時、映像化不可能と言われていた世界観を、1970年代に『エル・トポ』などでカルト的な人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督による映画化の企画が進行します。

彼が練り上げた壮大な構造と、人としての魅力に、新進気鋭のSF画家、アーティスト、特殊効果技師などのクリエーターが集まります。

彼らによって更に練られたプロットや絵コンテが一冊の本に纏められた、撮影に向けて出資してくれるスタジオを説得にまわったのですが、多大な予算と10時間にもわたる上映時間、そしてホドロフスキー監督の型破りな手腕にGOを出すスタジオは現れず頓挫しました。

しかしこの映画の構想は、二つの観点で、後世に大きな大きな影響を与えました。

一つは、DUNEの為に集まって解散したクリエイターが、この作品を通してインスパイアを受けて練り上げた構想を、その後の作品で遺憾無く発揮する事で映画のビジュアルを大きく変えた為です。

その代表例がリドリー・スコットの『エイリアン』で、DUNEの解散で行き場を見失ったクリエイターの多くがこの作品で再集合し、あのビジュアルと世界観を作り上げました。

そしてもう一つが、プロットや絵コンテが一冊の本の存在です。

この本はあらゆるスタジオに残された為、例えばその数年後に映像・デザイン革命を起こした『スターウォーズ』は、この本がら多くのシーンの着想を得たと言われています。

それらの作品や絵コンテ本の存在は、連鎖しながら影響を与え続けている為、ホドロフスキーが練り上げたDUNEは、未完成ながら大きな大きな影響を残したとして、伝説的扱いを受けている訳です。

そんな本作、実はその後に1度、映画化にこぎつけた作品があります。

それが、デヴィッド・リンチによる1984年の『砂の惑星』です。

しかし、この作品は大きなスケールの作品を一本にまとめた為、原作の良さを活かせているとは言えず、一般的には失敗作と言われてしまっていました。

そして2021年、ホドロフスキーの構想から40-50年経った今、『メッセージ』や『ブレードランナー2049』、『ボーダーライン』のドゥニ・ヴィルヌーブ監督によって映画化されるのが本作です。

壮大で抽象的な映像表現と、その抽象性を活かしたストーリーテリングが巧みなドゥニ・ヴィルヌーブ監督が、本作をどのように料理しているのか、非常に楽しみでした。

また、本作は2部構成の前編であり、本作で物語が完結する訳ではありません。


【レビュー、感想(ネタバレなし!)】

一つ前にレビューした『007』同様か、それ以上に賛否が割れていますね。

本作の抱えてるミッションって、非常にハードルが高いと思っています。

というのも、公開するはずであったホドロフスキーよDUNEの構想が、プロットやデザインという様々な観点で、今の映画の在り方に大きな影響を与えてしまった為、ブーメランで帰ってきた既視感を超える何かを提供しないと、「ありきたり」という感想になってしまう為です。

また、本作の壮大な物語を映画に落とし込むにあたって、映画の2時間30分という尺の中で、その面白さを表現できるのか?という観点もあります。

そのような観点でどうだったか...

まず、ドゥニ・ヴィルヌーブ的な色彩感を落とした壮大な映像描写とハンス・ジマーによる音響、それらによって演出される世界観は、素晴らしかったです。

そして、そこに主人公の暗示的で抽象的な心象描写が重なる事で、全貌が見えないスケール感のある問題と、パーソナルな問題が並走していきます。

これが作品の良い意味で掴みきれない世界観を作っていて、ドゥニ・ヴィルヌーブの作品だなと思いました。

『メッセージ』に関しても同じ構成で出来ていて、最終的にその抽象的な「マクロ視点」と「ミクロ視点」が化学反応を起こして、全体像をクリアにする鳥肌物の傑作でした。

そういうた意味で、本作は2部構成のうちの序章に過ぎず、掴みきれない世界観の提示という所だけで物語が終始しています。

その世界観に関して、前述したように確かに素晴らしいのですが、ブーメランで帰ってきた既視感を超えるインパクトには至ってないし、2時間半のあいだずっとその要素の強調だけが前に出てくる為、個人的にはクドくて、とっつきにくさだけが過度に残る作品に観じてしまいました。

二部構成なので、二作目を見るとまた評価が変わる可能性はありますが、直ぐに公開されるどころか、まだ製作が決まっている訳でもないそうです。

そういった意味でも、一作だけでも楽しめる映画になっていて欲しかったのですが、「ブーメラン的な既視感」と「壮大な物語に対する映画の尺」という観点から、そのハードルをクリアする事は失敗に終わったと言って良いのかなと思います。

とはいえ、絶賛してる人は絶賛してますし、世界観の提示が素晴らしいって所に否定は出来ないので、是非見て頂いて、色んな意見を聞かせて頂きたいです。

  1. 2021/10/21(木) 16:47:17|
  2. 2021年公開映画
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