『バクマン。』

~あらすじ~
高校生の真城最高(佐藤健)。おじが元漫画家で、優れた画力を持つ彼だが、一緒に漫画家になろうと原作家志望の高木秋人(神木隆之介)から誘われるも、何事にも熱くなれない彼は当初は拒否する。
しかし、憧れのクラスメート亜豆美保(小松菜奈)が、声優志望である事を知り、「ある約束」をする事で、最高はプロの漫画家になることを決意する。最高と秋人。二人は週刊少年ジャンプ連載を目標に日々奮闘するが、彼らの前には天才漫画家の新妻エイジ(染谷将太)が立ちはだかる....
☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
「無機質な紙の上に、ペン一つで生を与える。」
漫画の映画化という綱渡り。
それを、これ以上ないバランスで最高に気持ちよく実現してくれた事に、この上ない感謝感謝感謝。
原作は、少年週刊ジャンプで約4年に渡って連載された超人気漫画。
「デスノート」組の原作・大場つぐみ、作画・小畑健が再びタッグを組んだと言う事に加えて、漫画家を描く漫画というなんともアグレッシブな着眼点に、一話目から話題を呼んだが、決して話題に終わらずとんでもなく面白い。
大場つぐみのリアル志向の物語背景と、作画の小畑健の読み易く計算された絵の相性が良いのか...彼らの描く自分達の王道。
とにかく次作「プラチナエンド」も楽しみ。
今作の主人公は、真城最高と高木秋人の高校生コンビ。原作のコンビ同様、漫画内でも原作と作画を二人で分担して漫画を書いている。
彼らは漫画初めて書いた漫画、SF冒険物の「二つの地球」を週刊少年ジャンプ編集部に持ち込む。
初めて漫画を書く二人は、悪戦苦闘しながら完成に導くのだが、今作の最大の見所は「漫画を書く」場面なのは間違いない。
漫画というものは、一コマ・一コマは静止している2次元の絵でしかない。
しかし、漫画家が息を吹き込めは、実際には動いていないはずの紙面が途端に動き出す。
これが漫画家は紙面の上では神たる所以。
「無機質な紙の上に、ペン一つで生を与える。」
この過程を、映像という動の媒体で文字通りダイナミックにムクムクと生を与える。
本来は地味なはずの漫画作製の工程。
なのに、この気持ち良さ!!
彼らが漫画家として成長していくのとリンクして、よりアクロバティックになっていくのもどんどん面白い。
漫画と映画。
時には漫画的な演出を映画に持ち込んでしまう事で「映画としてのバランス」を崩してしまったり、バカっぽくならないように改変する事で原作の個性を潰してしまったりする。
しかし、漫画という題材を真正面から映画で捉えると、ここまで相性が良いのか...
静を動に変えるという過程を、実際に表現できるのだから。
このダイナミックな演出と、漫画的なセリフや間との相性も抜群で、永遠に浸ってられる心地よさに。「結婚して下さい!」「え...」「あ..!」漫画的なセリフの応酬が心地よいのは、大根仁監督のバランス感覚だろなー
もう一つ、この映画を大好きなのは青春映画たる所以をしっかりやってくれているから。
何者でもなかった真城最高。
何者かになりたかった高木秋人。
この高校生特有の不安感も、何者かになり始める事で、道がようやく開け始める。
この過程も最高に...気持ちいい...
エンドロールに象徴される、「漫画愛」しいては「週刊少年ジャンプ愛」が、作中に満ち溢れているのも、原作ファンを多いに唸らせてるのでは。
友情・努力・勝利。
書いてても寒くなるようなこの週刊少年ジャンプのテーマだが、漫画というクッションを一段入れる事で、漫画家達の行動も決して寒く見えないのだから、不思議。
絶賛しきりたい所だが、唯一にして決定的に納得いかないのが、ラストの展開。
「その意地、我慢は間違ってる...」と思ってしまうのは、心が寂れているからだろうか...
ともあれ、こんなに気持ちよく見られる漫画映画は数を数える程もないので、原作ファンならずも、映画ファンも必見ですよ!
オススメ!!
あ...演技は文句ないけど、高校生はちょっと無理が...w
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