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70『マネー・ショート 華麗なる大逆転』これ以上の正解はない!?

わかんないけど...おもしれー!

アダム・マッケイ最新作
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』



~あらすじ~
2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。
(シネマトゥデイ 引用)





☆☆☆☆☆☆☆(70/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)

大混戦だったアカデミー作品賞の三強の一角であり、アカデミー脚色賞や全米製作者組合賞を受賞した今作。
あのリーマンショックの兆候を見抜き、大博打に討って出た男達の群像劇です。

何と言っても俳優陣が豪華!
彼らが絡み合うチーム戦としての楽しみが殆どないのは残念でしたが、全員が全員、最高に魅力的でした。
それぞれのキャラクターと、難解な内容を噛み砕きながら書き下ろします。

まずはクリスチャン・ベール演じるマイケルは、数字に強く優秀なトレーダーである一方、コミュニケーションを取るのが大の苦手。
当時、非富裕層向けで高金利の住宅ローンであるサブプライムローンが流行していました。
サブプライムローンの債券化であるサブプライムローン債に、経済破綻の兆候を膨大なデータから見出した彼は、債券の価値が下がると利益を得る事が可能な「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)に討って出ようとします。
ローンの価値は上がり続ける住宅バブルのこの時代、当然ながらこの賭け周囲にはバカにされる...

ライアン・ゴズリングが演じる銀行員のジャレットは、周囲に笑い物にされるマイケルの説を目撃します。
しかし彼は一笑にせず、その可能性を見出し、行動に移します...

スティーブ・カレルが演じるマークは、現在の金融システムに懐疑的で病的なまでの信念を持つファンドグループのリーダー。
ジャレットから手を組む打診を受けた彼等は、調査を始めます。
その中で、業者はサブプライムローン債からの利益目的でサブプライムローンを返済能力によらず無審査で通過させている事や、
返済能力がない借り手も異常な住宅バブルの中では売却するといつでも利益を得られる現状を知り、バブル停滞による大量の不良債権化が目前だと知ります。
そして驚くべき事に、AAA評価を受けているCDO(複数の債券の担保をまとめた債券)の中に、このような危険性をはらむサブプライムローン債が含まれている事を知る...

ブラット・ピット演じる伝説の銀行員のベン。奇跡的に金融破綻の可能性を記載したレポートを目にした野心に燃える若き投資家の2人から、相談を持ちかけられます。
自らのコネクションを活かして、2人をサポートする事を決意し...


事前情報として上記情報程度は入れて鑑賞する事をお勧めします。
特に用語はじゃんじゃん飛び交う為、こちらのサイトをご覧いただくのが良いかもしれません。

映画『マネー・ショート』の感想と作中に出てくる金融用語の解説/リーマンショックの基礎知識
http://www.goodbyebluethursday.com/entry/moneyshort

非常に難解に見える上記情報はあくまで一部に過ぎません。
もっと多くの専門用語が飛び交います。
しかし...この映画...
画面に向かって第四の壁を越えてキャラクターが私達に話し出したり、超豪華なカメラ出演者達がトンデモ&わかりやすーい例え解説をいれてきます。
あるシーンは手持ちカメラによるドキュメンタリー風だったりします。
テンポも非常によく、完全にエンターテイメントに特化している、実はコメディ映画なんです。
それもそのはず、監督は『俺たちニュースキャスター』など俺たちシリーズの、アダム・マッケイ。
個人的には、ライアン・ゴズリン演じるジャレットと部下のやりとりが最高でした。
会話内容がわからなくても、「だいたいこういう事ね...」という部分はしっかり抑えられる事もあり、スリリングで楽しく、全く飽きる事がありませんでした。
専門用語や投資の駆け引きの内容を理解できるかは、あくまで+要素でしかないと感じました。

また、この映画が最も強調したい部分が、ラストの終わらせ方に表れているのではないでしょうか。
例のごとく「華麗なる大逆転」という邦題は完全にやっちゃってます。
実際に映画を見終えた後に残るのは逆転の爽快感ではなく、虚しさです。
ブラット・ピット演じるベンの一言が、この映画の芯を表します。
「喜ぶな。俺たちが勝つという事は、失業者や死者が大勢出るという事だ。」

100点満点楽しむのは難しいかもしれません。
しかしエンターテイメントとしての見やすさや(+投資駆け引きの楽しみ)、反感の出ない終わらせ方含め、これ以上の形でこの逆転劇を映画にするのは不可能ではないでしょうか?

知識がないと躊躇せず、是非劇場で見てください!!







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  1. 2016/03/13(日) 22:20:55|
  2. 2016年公開映画
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