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75『ルーム』脆くも力強く...

閉塞した世界があぶり出す、愛の物語。

『ルーム


~あらすじ~
施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。
(シネマトゥデイ 引用)





☆☆☆☆☆☆☆☆(75/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
衝撃的な設定。そこだけに終始しない物語展開。
トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、一気に話題に。
賞レースでは、ブリー・ラーソンが終始ぶっちぎり、アカデミー主演女優賞を余裕でかっさらった、注目作でございます!!

監督は、100点の顔の持ち主マイケル・ファスベンダーが終始マスクを被り続けた『FRANK』の、レニー・アブラハムソン。
奇抜な「手段」によって、常に転がっているが見て見ぬ振りをしている「日常」をあぶり出す、マジシャンのような監督。
そんな監督が、「監禁物」を撮るのだから、単なるサスペンスで終わる訳がなく...
鑑賞後、時間と共に旨味が溢れ出す素晴らしい映画でした!

産まれてから、部屋の中しか知らないジャック。
唯一見えるのは天窓からの空。そしてテレビ。
混乱を避ける為、「そういう物」として母から教えられてきた。
しかし、5歳になったある日
部屋の外には、世界が広がってるのよと、母から突然言われるが....

部屋の外の概念など理解できる訳がありません。
彼にとっての世界は、「部屋」だけ。
もし自分の知る世界を否定されたら?
世界を知らないジャックの拒絶は、日常では味わえないなんともフレッシュな視点。
こんな理解できない視点だからこそ、部屋からの脱出決行の際にも、
決してドラマティックに共感には寄せず、比較的淡々と作戦が進行していきます。
しかしながら、ジャックが初めて世界を見た時の衝撃、世界の水々しさ、そしてその後に訪れる世界への畏怖は、本物そのもの。
画面に私達の知っている世界が戻って来た時、そこには素晴らしい体験が広がります。


この監禁からの脱出がクライマックスではありません。
むしろ先の物語が、この映画の本質。
世界を取り戻した母ジョイ。
初めて世界を手にした息子ジャック。
ジョイにとって唯一の希望であったのがジャック。
ジャックにとって唯一の存在だったジョイ。
この関係が必然に変化していきます。
「世界は広い...だから薄く伸びてしまう...」
慄きながらも次第に受け入れていくジャックに対し、懸命になってジャックを育ててきたジョイには取り戻せない7年間が突きつけられていきます。
そして遂には記者のある質問で、彼女の精神は...
決して共感出来るわけがない彼女の立場ですが、細やかな感情描写、役者陣の生々しさゆえに、人間の脆さが刺さります。

しかし、この作品を見終えた後、残るのはポジティブな感情です。
人は脆く、崩れそうになら...いや、実際に崩れてしまいます。
でも...でも...生きる事が出来る。
人間は、愛があるから崩れても前に進む事が出来るのです。
彼女達を取り巻く人物たちの細やかな葛藤や寄り添う優しさ、そして間違えや脆さ含め、素晴らしい人間賛美でした。

また最後に取るジャックのとある行動からは、またしてもフレッシュな視点を味あわせてくれました。
(そういう意味で、ポスターはめちゃくちゃ秀逸ですね。)
確かに、彼の世界を考えれば...その行動以外考えられません。
よく考えれば間違いなく納得なのに、目からウロコのフレッシュさを味あわせる...アブラハムソン監督はどのような視点で世界をみているのでしょうか...

ブリー・ラーソンのリアルこの上ない生々しい演技。
アカデミー主演女優賞は納得納得納得。
本当に「良い女優さん」だわ...
そして、作品のレベルを一段も二段も上げているのが、ジェイコブ君のナチュラルで水々しい演技。
全くもって違和感がない所か、彼の一つ一つの表情に思わず引き込まれます。
彼の素晴らしすぎる演技無くしては、ブリー・ラーソンの受賞も間違いなくありえませんでした。

唯一の欠点は、誘拐中及び逃亡作戦時における犯人のジャックに対する行動の説得力のなさ。
そこが大事な映画ではないのは百も承知なのですが、どうも気になってしまいました...

しかし、それを指し引いても素晴らしい作品です。
監禁という手段によって、世界の水々しさや生きにくさ、そんな中での人間の弱さや強さをあぶり出す。
そんな小さな部屋を、ぜひ大きなスクリーンで見てください!!



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  1. 2016/04/19(火) 20:30:59|
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