純情ヒーロー誕生。
『デットプール』

~あらすじ~
ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊の傭兵(ようへい)として活躍していたが、今は悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいる。すっかり正義のヒーロー気取りの彼は恋人との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。とある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受ける。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
アメコミ映画イヤーの主役を、最後方からかっさらった注目作。
SFX畑出身のティム・ミラー監督の初監督作品。
ウェイド・ウィルソンことデットプールを演じたのはライアン・レイノルズ。
実は彼、ウルヴァリン X-MEN ZEROでも同じくデットプール(らしきもの?)を演じていたのですが、デップーらしさが皆無でちょい役だった事もあり、無かった事に...
彼自身も、デップーの大ファンであり、風貌やキャラクター含めて全く納得していなかったみたいです。
そもそもデップーはマーベルコミックスが原作のキャラクター。
一部ファンには人気があったものの、アメリカでもあまり一般層には認知されていません。
そんな中、エックスメン系列の映画化権をもつフォックス制作で立ち上がったこの企画。
初監督作品に、超マイナーなキャラクターに、当初は全く期待されていませんでしたが...
結果、R指定至上最高の興行収入。
マーベルびっくりの大ヒットに。
何故こんなにも大ヒットになったのかは、もう見てみれば一目瞭然。
どストレートに楽しくて面白い(そしてちょっと過激な)、リアルでシリアスで重たいといった近年のアメコミ映画の主流のはっきりとしたアンチテーゼとなるような素晴らしい娯楽映画でした。
デップーの特徴といえば、不死身であるという事は大前提として、この映画のトーンを決めるのが、常に軽口を叩き続ける所。
「俺ちゃん~」とぶっ叩きたくなるフレーズを駆使して、自画自賛や皮肉、悪口を常にくりかえします。
特に、途中知り合うタクシー運転手のドッピンダーが、デップーのアドバイスで恋敵を車に入れて拉致した時の
周囲に「俺ちゃんそこまで言っていないよ!」と訴えた後、ドッピンダー自身には小声で「よくやった」「殺せ」と言う下りなんかは、彼のキャラクターを表しており、本当最高でした。
こんなトーンのやり取りが繰り返されます。
また、もう一つの大きな特徴が、自分が映画のキャラクターだと知っている点です。
こちら側の世界への進入、いわゆる第4の壁をぶち破れる唯一の存在。
時折挟み込まれる、スクリーンのこちら側への気遣いなんか、最高でした。
また、同じ世界観を共有するエックスメンシリーズもいじり倒します。
中でもリクルートするミュータントとの掛け合いや、時系列いじりは、ずるい...
そして、第4の壁を越えた所にいる自分自身、つまりはライアンレイノルズいじりなんかも、腹を抱えて笑ってしまいました。
もちろん、オープ二ングクレジットや、エンドロールへの徹底っぷりも流石でした。
こんな楽しさばかりの映画と思いきや、最後に実は泣けちゃうくらい、人間ドラマもしっかりしてます。
というのも、予想していた以上に序盤は結構じっくりとそして痛々しく、ウェイドがデットプールになる描写が描かれます。
愛する恋人が出来、結婚に踏み切った所で告げられる末期ガンの宣告。
彼は一か八かの極秘治療を受ける際、彼女を傷つけない為に黙って彼女の元を立ち去ります。
口も素行も悪いけど、身近な物への人情だけは厚い男。
そこから、人体実験、ミュータントへの覚醒の流れは結構な痛々しさ。
しかしながら、例の軽口やデットプールのマスクの絶妙なあほらしさの為、トーンは決して鬱々しい方向に傾いてはいきません。
そこからは、自身の体を取り戻す為、そして最終的には彼女の元に戻る為...
決して世の為人の為ではなく、愛する人の為だけに悪の組織と戦う、人情、純愛全面押しヒーロー。
復讐まっしぐらなストーリーで、常に軽口を叩いているのですが、彼の情の厚さっぷりに、たどり着いた結末ではまさかの、ほろりときてしまいました。
多少のグロ耐性(決して生々しくはない)があれば、自信を持って全員にオススメしたい映画です!
是非劇場で、爽快に楽しんで下さい!
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