リアルタイム籠城サスペンス!
『マネーモンスター』

~あらすじ~
リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが……。
(シネマトゥデイ 引用)
☆☆☆☆☆☆☆(70/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『タクシードライバー』や『羊たちの沈黙』で女優として圧倒的な存在感を放ち、近年は制作側でも力を発揮...
そんなジョディ・フォスターの監督第4作目は、アカデミー脚本賞の『マネー・ショート』等近年の映画で度々取り上げられる金融業界への不信を、サスペンスとしてエンターテイメントに展開。
テレビの生放送を利用したリアルタイム籠城劇です。
生放送で爆弾を持った犯人が籠城...
韓国映画の快作『テロライブ』を彷彿とさせるような、シュチュエーション。
下手な事をやらなければ、これだけでもう面白いに違いない!
設定だけで、もうそう思ってしまう大好物なジャンルムービー。
実際には、金融業界への皮肉を散りばめた展開なのですが、ルックは期待通りにシュチュエーションを活かしたエンターテイメントに。
そして、そんな脚本と監督に惹きつけられ集まったのが、元夫婦役を演じるジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツ。
ジャンルムービーにしてはなんとまぁ豪華...
ジョージ・クルーニーが演じるのは、巧みな話術と、悪ノリパフォーマンスを操る、人気財テク番組のスター司会者司会者リー・ゲイツ。
ジュリア・ロバーツ演じるできる女パティが、番組を裏から支えます。
いつものように、リー・ゲイツが台本を守らず進行する番組...
しかし突如、発狂状態の青年が、「カネを奪われた!!株暴落の責任者を出せー」と、爆弾を手に乱入していきます。
爆弾を巻かれたまま、逆撫でしないようになんとか真意を聞き出し交渉しようとするリー・ゲイツ。
彼を裏側でサポートしながら、主張の裏側の調査を始めるパティ。
「システムのバグ」が原因とされる株暴落の事実を語らせるべく、怒り狂う青年。
この三者のやりとりと、背後でサポートするスタッフ達の奔走。
作品に常に緊張感がまとわりつきます。
カネを奪われた単なる逆ギレ...と思いきや、次第に彼自身の、そして株投資の裏側の思わぬ事実がうかびあがり、物語が転換していきます。
当初は、「いや、そんな事で...」ってなる青年の動機。
実は...それだけのようで、それだけでない。
自分の間違いを認めたくなくて、何かに押し付けたくて、起こした足掻き。
それ自体もう間違いなんだけど、間違いだらけのクソ野郎が間違いに抗うべく、起こした間違い。
徐々に、その足掻きに共感、応援したくなってきました。
それは、登場人物達も同じで、リー・ゲイツや、パティの行動の目的も変わってきます。
この立ち位置の変位が、この映画の最大の旨味なのかなと。
しかし...しかし!
中盤にある人物によって、本人が、いや周りも期待した言葉とは全く違う言葉が叩きつけられた時、見ている方も地底に突き落とされました。
「おめぇの言ってる事は正論だけど!そこはそんな事...言うなよ...」
あぁ、こんなはずじゃなかったのに...
周囲の状況が変わり、彼を応援できるのは、彼の状況の実は...に加えて、株取引の裏側の実は...が重なってきて、こいつは1個目の間違い自体は悪くないよ!!ってなれるから。
しかし、そもそもの動機と物語の結果をよくよく考えると...たまたまだよね。となってしまうのは、勿体無いなぁーと。
そしてそれ以上にがっかりなのが、元奥さんへの本当の想いを犯人に打ち明けるシーン。
いや...状況...
ここでこの事件の現実味を剥ぎ取られ、心底白けました。
しかし、金融システム側を単に批判するだけでなく、間違いは間違いだとするバランス感覚はジョディ・フォスター監督見事だなと感じました。
この後味の苦さゆえの心地よさは、大好きです。
どちらにせよ、シチュエーションサスペンスとして、誰が見ても面白いエンターテイメントに仕上がってると思いますので、
是非見てください!
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