悲劇?喜劇?
『教授のおかしな妄想殺人』

~あらすじ~
アメリカ東部の大学。孤独で気力のない哲学科の教授エイブ(ホアキン・フェニックス)は、ある日不快な判事についての話を聞く。自分がその判事を殺害するという完全犯罪を妄想した途端、よどんでいた彼の人生は鮮やかに色づき始める。一方、エイブのことが好きな教え子ジル(エマ・ストーン)は、教授が奇妙な殺人妄想に夢中になっているとは知らず、恋心を募らせていくが……。
(シネマトゥデイ 引用)
☆☆☆☆☆☆☆(70/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
巨匠!
『アニー・ホール』や『ミッドナイト・イン・パリ』の御歳80歳、ウディアレン監督の最新作。
ウディアレン監督らしい皮肉たっぷりの映画になっております!
ウディ・アレンの(あくまで私の)イメージは、
一歩引いた視点で悲劇と喜劇の合間を縫い、
人と人の出会いでストーリーをうねらせていく。
どの作品も、共感とかそんなんじゃない次元の心地よさが、たまりません。
特に、近年では『ブルージャスミン』の突き放しっぷりが、年間ベスト級に大好きでした。
今回のターゲットは哲学の教授。
研究対象の哲学と、自らの様々な経験によって、思考の袋小路に入ってしまった、ホワキン・フェニックス演じる教授のエイブ。
その教授に興味を持ち、ちょっかいを出すのが、エマ・ストーン演じる教え子女子大生のジル。
この二人と、エイブに言い寄る中年教員、ジルの本来の彼氏などの人物達が出会う事で、会話中心のストーリーが作られていきます。
そこに特別な事がなくとも、やはりウディアレンの作り出す物語...人と人の出会いで紡がれるストーリーは面白いし、何より何だかオシャレに見えます。
ジルがエイブを思考の袋小路から救うため(彼をモノにするため??)、様々な行動をするのですが、エイブのネガティヴは治らない上、一向に恋愛対象として見ようとしくれません。
しかし、ある出来事に遭遇した事で、彼は殺人の計画をたてるようになります。
自由である事、生の意義を感じ始め、自らを解放していく...
そんな、生と性と倫理が交錯してうねっていくのが、後半パートになります。
殺人という行為は絶対的な悪。
一方で、その行為によって救われる人がいる。何より、自らの苦悩が解放されていく。
この相反した見方や感じ方の人と人の間の食い違いを巧みに利用する事で、なんとも不思議な悲劇であり喜劇となっていきます。
救われない...いたたまれない...そんなストーリーが根本にあるはずなのに、
映画を見ている「自分」とは無関係な、滑稽で哀れだけど、興味深い、ある別の人生を見ている感覚は、ウディアレン映画独特ので、やはり大好きでした。
見終えた後、人生は豊かだなーと心地よい気持ちになりました。
ホアキン・フェニックスの役の説得力は流石の一言。
エマ・ストーリーは女子大生というのは無理がありましたが、やはりかわいい!!!
女性の「開き直り感が」生々しく、適度にイラっとしましたが....うん、彼女になら遊ばれたいです。
突き放しているのに、オシャレ面白い。
オシャレで面白いけど、人生の限界と豊かさを突きつけている。
そんな映画を是非劇場で!
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