クドカン最新作。地獄のロックコメディ。
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

~あらすじ~
修学旅行で乗っていたバスが事故に遭ってしまった男子高校生・大助(神木隆之介)。ふと目を覚ますと、炎が渦を巻く中で人々が苦しめられている光景が目に飛び込んでくる。地獄に落ちたと理解するも、同級生のひろ美に思いを告げずに死んでしまったことに混乱する大助。そんな彼の前に、地獄農業高校軽音楽部顧問にしてロックバンドの地獄図(ヘルズ)のリーダーである赤鬼のキラーK(長瀬智也)が現れる。彼の指導と特訓のもと、地獄から現世に戻ろうと悪戦苦闘する大助だが……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆(60/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
脚本家であり、俳優であり、放送作家であり、作詞家であり...映画監督の!
クドカンこと、宮藤官九郎の監督4作目となる作品。
監督作としては2009年の『中学生円山』以来となりますが、その間も数々のドラマや映画に出演したり、5本ものドラマの脚本を担当したりで大忙しです。
脚本を担当したドラマ『あまちゃん』による一連のムーブメントも記憶に新しい所です。
そんな中での満を持しての映画...なんですが、公開までの道のりは、決して順風満帆ではなく、1月に発生した軽井沢スキーバス転落事故をうけて、一度は公開を延期になりました。
当初は2月に公開予定だった映画ですが、このタイミングになった訳です。
作中の該当描写に生々しさは全くありません。(むしろギャグ的な描写になっている)
しかし、というよりも、だからこそ延期は極めて賢明な判断だったと思います。
神木隆之介演じる主役の大助は、ザ・今時感全開のダメダメでなよっちく、エロで妄想ばかりの調子乗りな高校生です。
修学旅行の移動バス内で、ばればれの理由を使い、大好きなひろ美(森川葵)の横に座るが、バスが谷底へ...
気がつくと、そこは奈落の底、地獄。
「何故おれだけ!?」
見渡すと、絵本に出てくるようなイメージ通りの「地獄」を体現した世界があります。
眼を見張るのは、現世の描写や天国の描写と対比させるよう、明らかに意識して作られた地獄の演劇調な美術。
独特の世界観を作り上げる美術さんの仕事は、作品を通して終始際立っています。
そしてもうひとつ、この世界から掴んで放さないのが、爆音で鳴り響く地獄ロック。
現世でモテる為にギターをしていた彼は、地獄の農業科軽音楽部の顧問であり、地獄図のリーダーである長瀬演じるキラーKにスカウトされます。
転機となるあらゆるシーンでロックが鳴り響く上、勝者が現世で生まれ変われる「地獄ロックバトルロワイヤル(ジゴロック)」という形で、ストーリーの中心にからんできます。
つまりこの映画は、完全な音楽映画(at地獄)なんです。
地獄図の歌詞の中に「んな無茶な...」て形でロックスターが登場したり、乙年のミュージシャンが鬼としてロックをしたり、
ロックな人物を取り上げる小ネタはくだらなくて、素直に笑えました。
クドカンが歌詞を担当って、どんだけ多才なんだか...
今作は、地獄に行った高校生の成長譚です。
地獄に行ってるのに、成長ってエッジ効きすぎでしょw
作中の地獄では、全ての人間に、生まれ変われるチャンスが6度あります。
ただその行き先は人間道だけではなく、天国道、畜生道などさまざま。
天魔様に口述でアピールして勝ち取る(なんだそれw)のですが、選ばれるのは、現世に動物として飛ばされる畜生道ばかりです。
演劇調の地獄と、動物として帰る現世を交互に見せて、「何故死んだか」や「その後」の様々な伏線を回収する構成は、非常に楽しめました。
地獄での1週間が、現世での10年に相当するという設定も、効いてきます。
情報量がすさまじく、クドカンらしく最初から最後までテンポよく描かれます。
小ネタも面白いです。
しかし...世間の高評価に反する形になってしまうのですが、私はこの映画、「つまらなかった」という印象が残りました。
あまりにも終始ベロベロバーすぎると。
テレビコント的なネタが多すぎるように思えるのです。
話の中のシチュエーションや状況を利用した笑いであれば、その笑いがストーリーを作っていくから飽きません。(それこそ映画的な笑いと思います)
しかしこの映画には、劇中の人物が「面白いだろー」と言わんばかりの、単発の顔や行動のみで笑いを取りに行くシーンが多すぎます。
繰り返しになりますが、一つ一つのネタは吹き出してしまうものも多いです。
特に精子になるくだりとか、流れの中で見せられる所は本当に最高です。
笑ったのに、なんだかつまらなかった。映画事態はそんな印象でした。
また、この映画の好きな人からは、気にすべき所でないと言われそうですが、ストーリーラインも、時間軸もはちゃめちゃです。
突っ込みどころが...というレベルではなく、何でもありというレベル。
特にバンド勝負の持って行き方や、結末は...
更に、ひろ美の語りシーンは、無理有り過ぎて心底萎えました。
キラーKの報われなさも納得出来ません。
(忘れる力が人間のポジティブな能力??この場合、正反対でしょ...)
愚痴はこの辺りでやめておいて、
主演の神木隆之介の童貞こじらせ感は、やはり安定ですね。
最高でした。
ただこの映画は、ヒロインの森川葵!
かわいい!というかもう好き。
死んでも死んでも死んでも会いたくなるのは、仕方なしです。
批判も書きましたが、私は少数派と思いますので...
是非劇場で見て下さい!
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