躍動する劇薬エンターテインメント。
『日本で一番悪い奴ら』

~あらすじ~
柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。
(シネマトゥデイ 引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
ぞくぞくと日本映画の良作が公開される2016年。
こんなにも、粒揃いな年は過去にあっただろうか...
今作も、類に漏れずにほんっと面白かったです!
監督は、『凶悪』の白石和彌監督。
主演は日本映画の若手の顔になりつつある綾野剛。
『凶悪』では、目を離したくなくなるくらい魅力的な「闇」を描き切った白石監督。
現実の不祥事を舞台にした今作。
正反対に振り切れた、過激で豪快で躍動感のある「闇」を描ききってくれました。
正義感を持って北海道警察の刑事となった、綾野剛演じる諸星。
右も左もわからぬ彼に、正義を指南するのは、ピエール瀧演じる先輩デカの村井。
そこで教えられるのは、成果を絶対的な善としてのし上がっていく処世術。
手段は二の次です。
次々と成果を手にし、周囲から浴びる賛辞と確立していくエースの立場。
手にしてしまったがゆえ、次第に独自の正義のあり方が刷り込まれていき、「成果」=「正義」という手段を排除した考えが、彼の全ての行動の軸になってしまいます。
実際に彼が選択する手段は強引で過激。
しまいには、法を飛び越え「成果」の為に本末転倒な「手段」を取り出します。
拳銃の数を上げる為に...拳銃を買う!?輸入!?
正しい事をやる為なら、どんな悪でも仕方なし。
いや...正しい事をしているんだから、その過程が悪なわけがない!!
だれが見てもやり過ぎな諸星の行動ですが、彼は一切罪悪感を持っていません。
むしろピュア。
最初からかわらない正義感の元で行動しています。
決して「悪い奴」ではないのです。
メンターにした先輩が悪すぎたのか...
いや、警察なのに点数制をとっていた組織が悪すぎたのか...
この映画には名シーンが数多く登場します。
特に、悪い事と分かってながらやるのと、全く悪いと思っていないものとの決定的なギャップが浮かび上がる、あるシーンが本当に最高!!
「え...何言ってんのこいつら?」
また、綾野剛が本人曰く「人間をやめる」キッカケとなるあるシーンの熱演は素晴らしかったです。
綾野剛の役者魂にあっぱれです。
もちろん、現実がモデルなわけですから、彼らは次第に追い込まれていきます。
成功体験が行動原理を作り、やがてその原理が破滅へ導く.,
そんな栄光からの転落を、暴力とセックスにドラッグを交えて、テンポよく描写される様はまるでスコセッシ監督の名作『グッドフェローズ』や『ウルフオブウォールストリート』さながら。
不謹慎ながら、楽しくてたまらない、
こんな躍動感ある映画を、日本映画でみれるとは思ってませんでした。
他にも、YOUNG DAIS最高!ピエール瀧最高!
画面のざらついた感じ大好き!
とか色々あります。
事態が加速していく感じがあまり伝わらないなぁという一抹の不満もあるのですが...
こんな振り切れて、かつ安心して楽しめる邦画、中々お目にかかれません!!
是非今からでも劇場へ!!
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