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劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

85『シング・ストリート』ハッピーサッド!?

あぁ音楽映画の神よ

ジョン・カーニー監督最新作!
『シング・ストリート 未来への歌』



~あらすじ~
1985年、ダブリン。両親の離婚やいじめで暗い日々を過ごすコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、音楽好きな兄と一緒にロンドンのミュージックビデオを見ることが唯一の楽しみという14歳。ある日、ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)を見掛け瞬く間に恋に落ちた彼は、思わず「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまう。慌ててバンドを組んだコナーは彼女を振り向かせようと、クールなPVを撮るため音楽活動に奔走する。
(シネマトゥデイ 引用)






☆☆☆☆☆☆☆☆(85/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
あんた、ほんと大好きだよ!!!!!
音楽を通して出会い、人生を前に進める...そんなアイルランドを舞台にした傑作映画『ONCE ダブリンの街角で』でデビューし、世界的に話題に。
そしてついには、アカデミー歌曲賞を受賞。
二作目の、舞台をアメリカに置き換えた『はじまりのうた』も大ヒット。
たった二作で、確固たる地位を築いたのが、今作の監督ジョン・カーニー。

ジョン・カーニー映画の特徴として、
全てが音楽を題材にした映画という事は勿論のこと、カメラワーク含めてドキュメンタリーのようなタッチで撮ります。
その中で、特に一作目で顕著だったのが、画面のざらつき。
そのざらつきがによる温かさ、温もりが作品のトーンと激しくマッチ。
今作は再び舞台をアイルランドに移したということもあり、非常にざらついた手触りの映画になっています。

今作の主人公となるのは、新人のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ君演じる、中学生コナー。
彼は、なんと6カ月に及ぶオーディションから選ばれたのですが、彼の垢の抜けきらない演技が最高でした。
舞台は不況から抜け出せず、閉塞感の漂うアイルランド。
父親の失業により、強制的にカトリックの学校へ転校させられたコナーは、新しい学校でザ・いじめっ子の少年(この子のバックトゥーザフューチャー感がまた最高)や頭の固い教師にいじめられるのですが、帰宅中に遭遇したモデル志願のお姉さんラフィナに一目惚れ。
「俺らバンドやってて、今度ミュージックビデオ撮るんだけど出演しない??」とハッタリでナンパします。
あー青い!!良い!!!!
そこからメンバーを必死で集め、楽器達者なメガネ少年や、口達者な少年プロデューサー達と、ミュージックビデオ撮りに奔走するというのが、ストーリーの中心です。

まずなんと言っても外せないのが今作は...今作も作品を彩る素晴らしい音楽。
コナーは、メンターである兄から、音楽の宿題を与えられ、メンバーとともに未来派!?の音楽を作り出していきます。
少年達のバンド「シング・ストリート」が歌う楽曲は、ディランディランなど80年代の音楽を絶妙にサンプリングし、今作の為だけに作られた物で、どれもこれも最高!
当時の音楽に疎い自分でも、なんとなく80年代最先端!っぽい生きの良さを感じ、音楽シーンはいつものごとくがん上がりでした。
加えて、今作はミュージックビデオ。
「いけてるロックバンドは、音楽とビデオを融合させるんだぜ!」
見よう見まねで作る映像は、音楽以上にごちゃまぜで、絶妙なダサさ、青臭さ。
この水々しさが、本当に楽しくて、なんなら逆にかっこいい!!!!

そして、ジョン・カーニーの真骨頂が「音が重なって音楽へとなっていく」描写。
ドキュメンタリータッチで進められている中で急に飛び出す、非現実的なシーン。
時間が浮遊しながら音が連なって音楽になっていく....
このシーンは毎度、音楽最高ー!!と気持ちをびんびんに高揚させます。


青春物としてハッピーな要素だけで構成されている映画なのかといえば、決して違います。
常にサッドが作品の背後に、かすかに、それでいて確実に感じられます。
根底にあるのが1985年のアイルランドの不況。
それによる、閉塞感。
「この国にいたら、結婚式で歌うしおれたコピーバンドにしかなれねぇ」
若者は、決して夢など見れません...
その現実は、失業して口だけは偉ぶる父親や、
叶わないリゾート地への旅行に憧れ、現実に失望して不倫する母親、
騙されてるかもしれないのに、モデルになるべくイギリスへ旅立つ準備をするラフィナ、
更にはいじめっ子の家庭環境なんかが物語ります。
あの切ない母親の背中よ...
そして何と言っても兄のジャックの物語。
コナーにとってはイケてるメンターですが、自身は狂った両親の下で夢を絶たれ、引きこもり真っ只中。
社会的には完全に落ちこぼれの彼がとる、二つの行動に、胸が引き裂かれました。

そして物語の背景の中で、閉塞感がパンパンに膨れ上がった時!
今作で最もハッピーな映像が詰め込まれた、ミュージックビデオ撮影中の妄想シーン。
超ハッピーでめちゃくちゃ気持ちの良いシーンのはずなんだけど、それによって涙がドバー!!

感情が爆発する、名シーンでした。


結末も、一辺倒のサスセスストーリーには絶対しないで、苦味要素を残します。
その苦味要素もくどすぎずに、爽やかな後味って、バランスがほんと上品!!
閉塞感を感じていたけども、飛び出したいけど飛び出せなかった...そんな全ての大人達へのタイムカプセル映画。

爽やかで、楽しくて、ふと泣ける。
そんな映画を...見なくてよいのですか??






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  1. 2016/08/26(金) 17:00:51|
  2. 2016年公開映画
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