シネマ・ジャンプストリート

劇場公開映画を中心にレビュー 映画の良さと個人的感想を。

80『君の名は。』切なすぎる距離が...

大大大ヒット中!

新海誠監督、最新作。
『君の名は。』



~あらすじ~
1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。
(シネマトゥデイ引用)






☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
こんなにもヒットするとは...
『言の葉の庭』や『秒速5センチメートル』などの新海誠監督の最新作となるアニメーション作品。
キャラクターデザインに『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』シリーズなどの田中将賀、作画監督に『もののけ姫』などジブリ出身の安藤雅司、そしてダブル主演の声優に神木隆之介、上白石萌音を迎える気合いの入りよう。

今作を前にした予習として、残念ながら『言の葉の庭』しか見れませんでした。
ただその中でも、背景のフレアを駆使した緻密でキラキラした色彩描写、
作品全体を詩的に仕上げる音楽
これらをある種妄想チックな物語に乗せ、
人と人の精神的な距離感をコントロールし、そこにある水々しさや、切なさを表現するのがとてつもなく上手いという事は重々に伝わりました。


今作は、作中の音楽にRADWIMPSが使われている事からもわかるように、作品のトーンやタッチは『言の葉の庭』とは異なります。
詩的で情緒的の演出は控え、普通のアニメーションの作りと同様に、盛り上がり所でいかに気持ちが良いケレン味ある表現が出来るかに比重があります。
二人が入れ替わり始めてから、入れ替わりに気付き、そして互いの生活に影響を与え、更には生活や環境、周囲の人、本来の姿の彼(彼女)に惹かれ始めるまでの一連の爽快感は見事!
そして、最大の見せ場である終盤。
普段なら過剰とも思えるケレン味演出ですが...
繊細なアニメーションがそもそもが持っている動的な気持ち良さと説得力の積み重ね、そして何よりファンタジーに昇華していく物語とのリンクで、決して作中のテンションだけが一人歩きせず、燃え上がりました。
本当にツボを心得たウェルメイドな仕上がりの映画です。


こんなにも気持ち良い作りを意識した映画ですが、根底ではやはり人と人の精神的な(及び物理的な!?)距離感が作る水々しさや、切なさが最大のポイントとなっていました。
それは何も、岐阜と東京という遠距離要素だけではありません。
正反対の環境や立場、性別への反応は、普段との距離感があるからこそ、(もちろん素晴らしい映像も重なって)掴みからなんとも初々しい映像になっています。
また、物語が進むにつれてファンタジー的に加速していき、そこには想像を超えた距離感が。
そして...どうにもならない運命と...死の匂い....
遠距離恋愛の切なさなんてもんでは収まりきりません。
あまりにも切なすぎる距離。

ここに関しては過度な表現はせず、二人の距離感とアニメーションの説得力だけで充分です。
こんなあまりにも切なすぎる状況だからこそ、二人がその切な過ぎる運命の殻を破る展開と、ファンタジー的なスケールの加速、そして過剰なケレン味演出が相まって、全てが高揚していきます
見終えた後の高揚感は一際でした。

この過剰とも取れる演出に乗れるかどうかで、作品への評価は分かれる所でしょう。
その上、裏側のおっさんがキャラクターを操る影が見えるのは気持ち悪いよ...とかはありますが
運命からの脱却が、物語のスケール、演出、音楽がリンクして沸騰していくテンションに、私はやられてしまいました...


世間の反応と水々しすぎる予告を、冷ややかな目で見ているあなた...
記録的大ヒットには理由がありました。
是非、劇場へ!!!





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