大根仁監督最新作
『SCOOP!』

~あらすじ~
写真週刊誌「SCOOP!」に所属し、数々のスクープ写真を撮ってきたカメラマンの都城静(福山雅治)。しかし、今ではギャンブルに溺れている上に借金に追われつつ、フリーランスのパパラッチとして生活していた。そんな中、「SCOOP!」に配属されてきた新人記者・行川野火(二階堂ふみ)とタッグを組むことに。情報屋のチャラ源(リリー・フランキー)からのネタと場数を踏んできて培ったベテランならではの勘を武器に次々とスクープをものにする静たちだったが、やがて大きな事件に関わることになり……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『モテキ』や『バクマン。』など、躍動感のある痛快なエンターテイメント映画の名手!
大根仁監督の最新作。
特に『バクマン』のアニメーションのような動的な気持ちよさと、やるんだ!!という仕事への熱量を貫く事による、高揚感はほんと最高でした。
毎度毎度、日本のエンターテイメント映画も捨てたもんじゃないと感じさせてくれるのが、この大根仁監督の作品です。
そんな大根仁監督が、福山雅治と組む...しかも熱烈パパラッチ.,.
観ないわけにいかないでしょうよ。
元ネタは、1985年公開の『盗写 1/250秒 OUT OF FOCUS』。
『駆け込み女、駆け出し男』の原田眞人監督が、駆け出しの頃に手がけたテレビ映画です。
未見ですが、今作はかなり現代的に改変されているみたいです。
主演の福山雅治を囲うのは、今勢いのある俳優陣。
一番の主観になる新人記者の行川野火を演じる二階堂ふみはじめ、情報屋チャラ源のリリー・フランキー、野火の上司横川定子の吉田羊と、キャラクターとしての存在感は、やはり大根仁監督、全員際立っていました。
特にリリーフランキーの憎めないダメ人間っぷり、更にそれが行き着く姿は、あまりにハマってて最高でした。
ミーハーで言い訳ばかりの(今時な)若者の野火。
行き着いた仕事は、フリーカメラマン静をサポートする記者。
よくわからないまま、静に会ってみると、腕だけはあるが、ゆえに傲慢で、信念なくただただゲスネタを追いかける、セクハラゲス野郎でした。
いわゆる、めんどくさいイヤーなおっさんです。
最初は静に振り回され、スターのプライベートを侵して夢を壊すこの仕事サイテーと言っていた野火。
しかし、様々な手段を駆使し、静達と連携しながら事実を暴いていくにつれて、「この仕事サイコー」と言うまでに、仕事の魅力に惹かれていきます。
一方で、一匹狼のクソ野郎だった静も、野火のひた向きで仕事に惹かれていく様子を見て、次第に活力を取り戻し、「ある事情」から拒否していた報道ネタにも前向きになっていきます。
この過程で描かれる、「如何にして撮るか」がケーパー物として、非常に斬新で楽しいのですが、
それだけでなく、善悪ではなくて、何かに夢中になっていく者同士が互いに高揚していく展開も重なり、こちらも高揚していきます。
ああー仕事に熱い、大根仁監督の映画だなと。
作品の鍵となっていくのは、リリーフランキー演じるちゃら源。
静がクソ野郎であれば、ちゃら源は薬に溺れ人間生活を辞めてしまった、ダメ人間。
一方で、ヘラヘラしながらも静のネタをフォローしたり、野火の危機を助けてくれたりするから、憎めない。
元は良い人に違いない、、、
次第に、SCOOPのエースだった静が、何者になる事を葬り去った背景には、ちゃら源への負い目が関わっている事が明らかになっていきます。
彼の存在感や、彼のとる行動、そしてそれら背景を語りすぎなさが、エンターテイメントに止まらない闇を語り、この作品に奥行きを産んでいます。
そして、ラスト30分の衝撃の展開で話が一気に動き出すのですが、
ここからが、息の詰まる展開。
すでに時代に適合しなくなったダメ人間の退場、そして今の時代に適合していく若者へのバトンタッチが、スリリングにそしてバッサリと描ききります。
一方で、残念ならが乗り切れない要因があちこちに散らばっているのも事実です。
特にスリリングなラスト30分。
絵的に説得力のある引き継ぎを描きたかったのだろうご、彼女がそこにいる事によって...
やはり案の定...
お前のせいだろ!!!!
シンプルな息の詰まる展開からずらされます。
彼女がいないと、見た事ない程スリリングで面白いのに...
また、福山雅治のゲス描写が頻度の高すぎる故、時折胡散臭くみえてしまいました。
そしてそれ以上に、恋愛描写...いりますか!?
どっちつかずで終わる方が、間違いなくラストの写真でグッときたに違いないのに。
そもそも、あんなゲス男に惹かれる意味が全くわかりません。
顔ですか?
その後の道徳だーどうのこうの言う論争も。
何が言いたいの??どういう論点??本当に意味がわからないまま収束してしまいました。
惜しい...惜しい...
でも、躍動感含め、決して見所ない映画ではありません!!
是非劇場へ!
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