5月最後に観た映画はこれ。
リーアム・ニーソンによるハードボイルド映画。
『誘拐の掟』

~あらすじ~
ある夜、刑事であるマット(リーアム・ニーソン)は一人バーでお酒を飲んでいた。そこへ急に強盗が押し入り、店主を射殺。とっさに犯人を店外に追いかけ撃ち殺す。
それから数年後、刑事を辞めて断酒をし、私立探偵を営むマットの元にある依頼が。麻薬ディーラーの妻が誘拐され惨殺。復讐の為に犯人を見つけて欲しいという。だが犯⼈は残忍で交渉不可能な猟奇殺人鬼。そんな中、更なる誘拐が....
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(70/100)
以下、レビュー(核心のネタバレなし。)
~激シブなリーアム・ニーソン~
ラン・オールナイトのレビューでも書いたように、近年のリーアム・ニーソンの映画は、「長身長で眉間にしわを寄せた弱っちそうな困り顏で、敵をバッタバタとやっつける」ってお決まりの映画を連発していた。
もちろん、それが面白いかどうかは作品によるが、今作は全く違う印象を与えてくれる。
冒頭から始まる重厚な銃撃戦はマイケルマンの傑作『ヒート』を連想させるし、猟奇的殺人に感じる現実の理不尽さはフィンチャーの『セブン』のようだし、作品の雰囲気はコーエン作品のような重苦しさが漂う。
なので、決してシンプルな娯楽作ではない。先述のラン・オールナイトでも「敵対関係の上にある友情」という+αのハードボイルドさを乗っけてきたが、今作はそもそも作りからして違う。
ただ、リーアム・ニーソン独特の風貌を活かしていないか?と言われたらそうではない。
風貌から感じられる「脆さ」が、主人公マットが持つ自分の過去を含めた現実への絶望とうまく重なる。
また、マットは犯人をいとも簡単に射殺してしまうような腕のある刑事だった。そのマットが犯人と初めて接触した時の完璧な対応。
その時に流れる「犯人も絶対ただでは終わらない」という空気。『96時間』シリーズである、「会った瞬間に、敵がやられるの決定!」という気持ち良さとはまた別のベクトルに、リーアム・ニーソンが築き上げてきたイメージを活かせてる気がした。
作品自体に漂う、この類の重苦しさや理不尽さは、個人的に大好き。
しかしながら、映像的なグロさはそれほどないが、犯人の残虐さや死体の一部を想像させるシーンがある為、そういう類が無理な人は精神的にきついかもしれない。
~過ちを持った人々の愛~
この作品に登場する人々はすべて過ちを持つ。誘拐犯のターゲットにされるのは常に「麻薬に関わっている人の家族」だし、マット自身の過去も....
しかし、そんな彼らは家族が誘拐されたという事実に泣き崩れ、取り乱す。
そんな中で印象的なのが、家族が誘拐された麻薬関係者の背後に映る、愛すべき家族の絵。
その光景に、胸が張り裂けそうになる。
ただ、そんな過ちを持つ人々以外にも、「絶対的で避けられない悪」も世の中に存在する。それは社会そのものかもしれないし、サイコパスのような人かもしれない。
これは、避けようもない事実で、巻き込まれた人はあまりにも理不尽に死ぬかもしれない。
~小さい、小さい、小さい希望~
物語は理不尽だ。しかし....
ここではラストに触れないが、
この作品がもたらす結末、そしてその中で最後に映し出される映像に救われた。
~少しの不満~
少しだが、小さくはない不満。
終盤のあの語りかけ....いる!?その後の展開に向けて言わんとしてる事はわかるが、はっきりと邪魔だと感じた。
せっかくの素晴らしい雰囲気が...
ともあれ、重厚な映画を好きな人は是非ご覧あれ!!おすすめです。
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