スター・ウォーズ・ストーリー始動!!
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

~あらすじ~
帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズ(チアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆☆☆(80/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
『スター・ウォーズ』シリーズの最新作!!
正確には、1977年から83年のエピソードⅣ~Ⅵ、1999年から2005年のエピソードⅠ~Ⅲ、そして昨年公開されたエピソードⅦとなる『フォースの覚醒』と、一連の選ばれた者たちの物語、サーガの中では絶対に描かれない....幾多にわたり存在する無数の物語を描くのが、「スター・ウォーズ・ストーリー」。
今後1年おきに、「スター・ウォーズ・サーガ」と「スター・ウォーズ・ストーリー」を順に、半永久的に描いていくという、ディズニー×世界最大コンテンツだからこそなせる、過去例のない壮大な計画。
その「スター・ウォーズ・ストーリー」の第一弾となる今作を監督するのが、『GODZILLA』のギャレス・エドワーズ。
主人公ジンを演じることのは『博士と彼女のセオリー』のフェリシア・ジョーンズ。
彼女と共に「ローグ・ワン(=はぐれ者)」を形成していくキャラクターの1人に、香港の生んだ大スター ドニー・イェンが盲目の戦士チアルートを演じているのも話題になっています。
日本文化から多大な影響を受けているシリーズですが、なんと東洋人の主要人物への起用はこれが初めてです。
内容はと言いますと、今作は1977年公開のエピソードⅣ新たなる希望の直前。
世界一有名なオープニングクレジットにて、「反乱軍初めての勝利。帝国軍の巨大兵器デススターの弱点を示す設計図を入手」というたった数行の内容を、2時間強の映画にしたものになります。
つまり、あの「エピソードⅣ 新たなる希望」の冒頭の10分前までを描いた映画なのです。
プロローグ、ジンの幼少期から、映画は始まります。
まず驚くのが、あのオープニングクレジットが無い...!?
それどころか見進めていくと、「スペースオペラ」であったサーガのシリーズとは、全く異なるという事に気がついていきます。
決して選ばれた者たちには見えない地味な面々。
ドラマチックさを最小限に抑えたストーリー。
シリーズ最大級に恐怖や理不尽さを煽るビジュアル。
「エピソードⅣ 新たなる希望」が希望や明るさが満ちているのに対して、その直前の話であるはずの今作は正反対です。
デススターの大きさ表現や、星が消え去る生々しい描写、そして暗黒からのダースベイダー登場シーンなど、決してサービスカットではない(最後を覗いて)絶望をじわじわと浸透させてきます。
これは犠牲なしでは終われない戦争なんです。
地味な面々の中でも、特にこの映画を象徴していると感じたのが、反乱軍で任務を遂行するキャシアン・アンドーです。
同じ様な立ち位置であった、スペースオペラであるサーガの集大成であった前作「エピソードⅦ フォースの覚醒」に登場するポー・ダメロンとは対極。
ダメロンは心地良いくらいナイスガイが画面から滲み出ていたのに対し、キャシアンは地味で正義感がない、任務の為なら一般人を殺すような戦士です。
決して、「エピソードⅦ フォースの覚醒」のように、キャラクターに対しても一方通行で乗せてくれません。
彼等が団結して立ち向かっていくきっかけも、分かりやすく「光」に吸い寄せられていく訳もなく、各々が全く別々の信念の元で共通の目的に向かっていきます。
こんな単純には上がらない、地に足をつけた地味な展開は、決してサーガでは描けないでしょう。
そしてそんな地味で、選ばれた者ではない彼等だからこそ、クライマックスの戦争...特にラスト15分は途轍もなく素晴らしい出来栄えになっています。
エピソードⅣに彼等がいない事からも、ハッピーエンドではない事は容易に想像できてましたが、彼等の覚悟と犠牲の物語にこんなにも涙が出てくるとは思いませんでした。
決して見る事はないかもしれない「希望」の先をただただ信じて....
エピソードⅣとは正反対と書きましたか、この映画もエピソードⅣ同様に「希望」が描かれているのです。
作風は正反対かもしれないが、同一線上の「希望」が流れるアナザーストーリー。
たった数行だったはずが、エピソードⅣを2倍にも3倍にも面白くしてしまう。
この作品こそが正しいスピンオフの在り方だと強く感じました。
また、盲目の僧侶チアルートと相棒のベイズの物語も心を打たれます。
チアルートを演じるドニー・イェンのアクションは今作一番の盛り上がり所。
アクションで語られる、ブロマンス的な関係性も最高です。
しかしそれ以上に、フォースを信じるチアルートを半ばバカにしていたベイズが、最後に取る行動があまりにも映画的で、作品自体のクライマックスと重なって、震え上がりました。
一方で、アクションの中で進行し、いかにキャラクターを立たせるかが全てであった「エピソードⅦ フォースの覚醒」の魅力が限りなく0に近い為、シリーズにスペースオペラとしての魅力を求めてる人にとっては、がっかりなのも間違いないと思います。
また、人物の信条変化をうまく感じ取れない点も否めません。
特に演技なのか演出なのか、主人公の心情変化が全く伝わらず、事態に応じて淡々と行動を変えた印象が残ります。
そういう作品なんだけど、各々の印象が地味な上で、心情変化がいまいち伝わらなければ、当然ドラマパートに盛り上がりが欠けます。
大擁護派の自分としても、中盤は退屈していました。
とはいえ、本編をより色鮮やかにする、名もなき者たちの光り輝く物語。
めちゃくちゃ大好きです!
是非劇場で!!
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