アントワーン・フークア監督最新作はあの西部劇!?
『マグニフィセント・セブン』

~あやすじ~
悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)によって牛耳られ、絶望を感じながら生きているローズ・クリークの町の人々。住民の一人であるエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、流れ者、拳銃の達人といった7人の男を雇って、バーソロミューの手から町を救い出すように頼む。金のためと割り切って戦いに身を投じるサムやジョシュだったが……。
(シネマトゥデイ引用)
☆☆☆☆☆☆(65/100)
以下 レビュー(核心のネタバレなし)
1960年の西部劇で、言わずと知れた超名作『荒野の七人』の現代解釈のリブート。
更にルーツをたどれば、1954年の黒澤明監督の『七人の侍』が燦々と輝いているのだから、当時の日本映画が世界に与えた影響の大きさに恐れ入ります...
この二作は、数多くの引用、オマージュされているだけでなく、チームを形成する映画の在り方を確立した、映画史には欠かせない二作です。
この映画がなければ、スターウォーズもMIシリーズもアベンジャーズも、そして仮面ライダーシリーズすら無かったかもしれない...
そんな名作を60年ぶりに蘇らせる強者。
それが、一風変わったカッコ良い男を撮らせると右に出る者はいない、信頼できる男!
『トレーニング・デイ』や『イコライザー』のアントワーン・フークア監督。
七人のマグニフィセントな??男達を、デンゼル・ワシントンやクリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホン等、豪華でスクリーン映えする俳優陣が演じます。
舞台は、労働者達が長年の努力で成り立たせてきた村。
そこへ、ピーター・サースガード演じる資本経済の成り上がりバーソロミュー・ボーグがやってきます。
資本主義の非人道性を体現する彼の軍団が、「力」を誇示するのですが、それがもう酷くて、ついには人道性の象徴である教会を燃やし、実効支配を強めていきます。
反抗した事により夫を失ったヘイリー・ベネット演じる未亡人エマ・カレン。
(正統派な美人じゃないが、今作でも独特の色気がたまらない...)
彼女は、彼らを追い返してくれる猛者を探しに、村を発ちます。
プロットは王道中の王道。
しかし、フークア監督だけあって、集まってく男共がやはりそれぞれが魅力的。
そんな男共をずらっと見渡すと、この映画から切り離せない物が浮き上がってきます。
白人に黒人、アイリッシュ系にヒスパニック、メキシコからの移民にインディアン。
人種、種族の多様さ!
こんな構成、オマージュ元の西部劇の時代ではありえませんでした。
かのリーダーを思わせる悪役含め、まさに今の内向きな情勢へのカウンターパンチを、伝統芸の西部劇でやってしまっています。
一人ずつでもご飯が進むほど、個性豊かな面々ですが、人種や種族の多様性故にそれぞれの背景もやはり異なります。
白人黒人ももちろん、インディアンとメキシコ系の移民との関係性は、テーマとして全面には出てこないものの、常に含みをもたらせます。
しかし、そんな彼らが...
どんな種族、人種に関わらず、それだけは間違いなく崇高であるべき人助けの為に、生死問わずにチームとなり戦う展開に、もう上がらずにはいられません。
現代的なテーマが詰め込まれてはいますが、それでもルックは「西部劇」。
当然リアルタイムで全盛を知らない自分にも、西部劇の醍醐味、楽しさがわかった気になります。
エンディングで流れる曲とか、もうその時点で100点出ちゃいますよね。
また、豪華な面々の中で、特に際立っているのが射撃の名手グッドナイト(イーサン・ホーク)とナイフの達人ビリー(イ・ビョンホン)。
彼らの補完関係が最高でした。
とくにイーサン・ホークは、役割的にも美味しいところなのは間違いないが、やはり異色な存在感があります。
グッドナイトの抱える闇、ビリーの存在、そして二人の運命は、ローグ・ワンのチアルートとベイズの関係を彷彿させ、今作で最も感情が入っていきました。
しかーし、全体的にそうですが、特に中盤は単調で退屈。
『荒野の七人』から比べると、ドラマパートが物語を進めるだけのものに終始してしまっているため、グッドナイト以外の面々には、ほとんど感情が入りきらない。
そもそも、どうしてそこまで命を懸けて戦う決意をするに至ったか...の部分が、大半のキャラクターには見えてきませんでした。
その為、上がるはずのラストも、正直ピンと来ず...
勿体無い。
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